続壱 ページ31
両親はお客さんをよく家に呼ぶ。それがどんな人なのか、絶対に教えてくれない。声を聞こうとするけれど、部屋に居るから声が僅かしか聞こえない。
今日来るお客さん訪問時間は午後三時、丁度おやつの時間だ。さて、私は何をしていようか。別にやる事がある訳でもないので、ただ退屈なこの時間をどう過ごそうかと、私は本棚から本を取り出した。
刻々と時間が流れ、外から車の音がした。お客さんかなと本を読みながら思っていると玄関から親が出て行くような声と音が少しだけ聞こえた。
けれど、そこから両親の声は全く聞かなくなった。
耳にはイヤホンを付けて、本にも飽きて、何かする気もなく、私はこの退屈な時間をどうしようかと考えていた。親の声が聞こえなくなって、約十分。時間の経過が遅くて嫌になる。
するとあの【なにか】が肩を叩いた。家でこれがなるのは初めてだ。
「?」
後ろに振り返るも、やはり誰も居ない。私は部屋から出た。そして臭うのは鉄の匂い。思わず鼻を覆った。
「・・・?」
あぁ、嫌な予感がする。大抵、嫌な予感は当たるものだ。私は一階のリビングを覗き込んだ。まずは壁を見ると所々に赤い水飛沫のようなのが付着していた。その赤い飛沫が、一体なんなのか分かった。
私は壁に続き、床を見ようとするがそれは叶わなかった。
「っ・・・。」
目を隠された。布のような何かが目を隠してきた。
「見るな。そのまま後ろを向け」
そして後ろから放たれる言葉は全く知らない男性の声。けれど、この目を隠す布のようなものには覚えがあった。
「貴方は、誰ですか」
私には恐怖心というものがまるで存在しなかった。後ろに振り返り、顔は下を向かせ、私は言った。
「・・ポートマフィアの者だ。」
「ポートマフィア・・・?」
「貴様の両親はポートマフィアの裏切り者だ。それを始末に来た。」
「裏切り・・・。」
それは人が犯していけないもの。私は裏切りというのがなりより嫌いだ。
「当然の報いを受けた。」
「・・・。」
そうだ。当然の報いだ。裏切り者には罰が下る。
「私も、殺しますか」
退屈な日々が、どうやらこれで終わるかもしれない。私の胸にはそんな期待があった。
「なぜ、僕が貴様を殺さねばならぬ。」
「裏切り者の子だから」
「そんなものは関係ない。裏切り者はあいつらだけだ。貴様を殺す理由はない。」
「ないの・・?」
普通なら私は殺されるのではないのだろうか。私は彼の言葉に疑問が残った。
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作者名:翼 | 作成日時:2016年6月25日 8時