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「なら、もし私が優希ちゃんを閉じ込めたい。とでも言ったら、それを嘘と受け止めるかい」

その言葉に私は珈琲を飲むのを止め、太宰さんの目を見つめた。

笑った顔がまるで道化師。太宰さんの本心はまるで見えない。

「私は他人と違うようなので、それをしてくれるなら私はいいですよ。ですが、その前に言うことがあるんじゃないですか。」

冷めた珈琲は不味くて、私はテーブルの上に置いた。

「愛してるよ。だから、私に閉じ込められない?」

他人が聞いたら不気味な言葉、怖がる言葉であっても、私にとっては最高な言葉で魅惑の言葉。

「いいですよ。」

私は嬉しくて微笑んだ。

「変わった子だ。普通なら嘘だって、そう思うんじゃないのかい?」

「狂った人ほど、愛は強いんですよ。愛に嘘を吐く人はなかなか居ないですからね。」

「経験済みかな?」

「独断ですよ。」

近くに居た店員さんにカプチーノを頼んだ。

「太宰さん、私嬉しいんですよ。貴方の部屋で、貴方の帰りを待つ日々。貴方が居る限り、私は貴方の傍に居られる。そんな素敵な話を太宰さんはしてくれているんですから」

「・・・そこは私を愛してるって返事を期待したいんだけどね」

「愛しています、太宰さん。」

「・・・・・・。」

返事をしたのに、太宰さんは手で顔を隠した。

珍しい彼の照れた表情。私は店員さんが持ってきたカプチーノを飲んだ。

「冷めないで下さいね」

熱くて火傷しそうで、私は少し冷ますのを待ったけれど、どうやら欲張りらしくて、待てずに飲んだ。

「なら、冷める前に捨ててはいかがかな?」

「そうですね。それもいいかも知れないですね。」

冷めてしまう前に、心中。なんて良いかも知れない。

「けど、それを望んでいないなら、私なら君が死んだ後でも愛し続ける自信がある。もしかしたら、冷えずに、火傷しそうなほど、熱いままで残っているかも知れないね」

「それは素敵な話ですね。でも、死ぬ時は一緒がいいです。きっと、居なくなったら寂しくて、思い焦がれて死んでしまう。どっちにしろ、死ぬ運命なら、一緒がいいです。」

「まぁ、それは遠い先の事だからね。その時は私達で判断すればいい。」

「そうですね。」

私はカプチーノを飲み終え、太宰さんが席を立って、私に手を伸ばした。

「私と、来てくれるかい?」

「喜んで」

例え、偽りであっても、異様で、異常の、愛をくれるなら、私は嘘に溺れてもいい。

退屈ー芥川龍之介→←嘘ー大宰治



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , ヤンデレ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2016年6月25日 8時

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