境目ー中原中也 ページ21
※主人公はトリップしてきたという設定です。
手をいくら伸ばしても届かない。なんて言葉を聞くと、そうだよな。って思う。
届くように、必死に手を伸ばしてみたけれど、触れることも話すことも何も出来ない
画面越しの、実在し、実在しない君を・・・私はどうして想ってしまったのか
遠距離恋愛なんかよりずっとずっと遠い。
まだ、遠距離恋愛の方が羨ましいと、何度思ったか
「会いたい・・・。」
そんな言葉が、もし現実で叶うならいいのにと、いつも願って祈って、そして叶わず。
悲しみが胸を締め付けて、もう何日目か、何年目か
それが、壊れるのはいつだろうかと待ってみるけど、結局壊れずにいる。
けれど、そんな日はいつか終わりを告げた。
そう。終わったのだ!あの悲しい日々が!あの孤独の想いが!彼に対する憎しみが!ついに、君に伝えられるのだ!
君にはわかるまい。存在し、存在しない者を愛おしいと想うこの気持ちが、どんなに苦しいものか!
私は今日も微笑むのだ。それが例え私自身の心と身体に傷を付けるものになっても、私は満足なのだ。
あぁ、想い焦がれ、何度もばらばらになったこの心は!まだ、貴方を愛おしいと叫んでいる!
さぁ、名前を呼んでおくれ。その声で、私の名前を!
「優希」
「っ!」
名前を呼ばれ、悪夢から目を覚ました。
「魘されていたが、大丈夫か?」
「中也?」
目の前で顔を覗き込む彼に私は胸を何度も何度も締め付けられる。
悪夢?いや違う。あれは過去の自分だ。
「中也・・・。」
顔を覗き込む彼の頬を、そっと自分の手で包む。そして流れるのは透明な水。
「なんだ、怖い夢でも見たのか」
「やっぱり、好き」
「はぁ?」
意味が分からないと表情を出す彼に私はただ甘美な想いをするのだ。
「とりあえず、さっさと寝ろ」
「うん。おやすみ」
君のひとつひとつの言葉をどれだけ望んでいたか。顔を見たいと何度願ったか。君に会いたいと何度想い描いたか。
きっと、君には分からない。心を壊すほど、壊れる程、誰かを想っていなければわからない。
この身を滅ぼしてもいいほどの恋を!君は知らない!
「おやすみ。中也」
私はまた眠ろう。今宵はきっと満月だ。私が彼と出会った運命に!それを私は命日とし!そして誕生の日としよう!
君と出会えた喜びを!私は忘れない!
だからね、中也、私を捨てないでね。最後まで傍に居てね。ずっと一緒だよ。愛しい人。
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作者名:翼 | 作成日時:2016年6月25日 8時