【文豪ストレイドッグス】異常な彼の愛し方-壱- (ページ20)

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続ページ20

名探偵が恋人なんて、怖いじゃないか。

それが純粋ならまだしも、それが狂気の愛ならば

名探偵なら、何もかも分かって、行動するだろう。それが、子供のような性格なら、直接手を下す事なんてありえそうじゃないか。

名探偵は頭が良いから、何をどうすれば、相手は何をするのかも知っている筈だ。

「なんで私なんですか。私は乱歩さんが好むような人じゃないですか」

「なんで君が僕の好みってなるの？好みが好きになるなんて事ないでしょ？」

目をそらさずに言うけれど、それがどんなに怖いか、乱歩さん。知っているんじゃないんですか。

でも好みだからと言って好きになるというのは、確かにないかも知れない。好みじゃない人を好きになる事だってある。

「何度も言ってるけど、僕は君が好き。好きな子に好きって言って何が悪いの？一緒に居たいって、素直に言ったら悪いの？」

「･･･それは」

悪くない。気持ちを押し付けている結果になっているとしても、相手に気持ちを伝えるのは決して悪いことじゃない。

私は貴方が分からない。

「ねぇ、僕、結構辛い思いしてるんだけど」

切なそうに眉毛を下げる彼に、胸が痛む。

「でも･･･。」

江戸川乱歩という人が好きか嫌いかと言われれば好きだ。だが、それは恋愛には分類されない。

「もういいよ。どうせ、僕は君を諦めるつもりなんてないし･･･まぁ、君が僕以外を好きになれないだろうけどね」

「どうして、そう言い切れるんですか」

「僕が、僕自身の事件を解決出来ないって事はないからね。」

「事件･･･。」

彼にとってこれは事件なのか。けど、もし事件が解決しなかったら、これが初めてならば、それはそれでロマンチックではないだろうか。

「でも、君が僕を好きになるまでそう時間はかからないよ」

「どうして？」

「簡単さ。恋愛にも犯罪にも、人は心のままに動くものだからね。」

「？」

「恋愛には親和欲求と反報性の原理が作用されてあるの！まさか、これがわからないって訳じゃないよね？」

正直言ってわからない。私は出来の悪い脳を使って考えてみるもやっぱり分からなかった。

「なんで分からないかなー！」

と頭を掻き毟る彼に申し訳なく思った。

「あ、そうだ！分からせればいいんだ！吊り橋効果とか、本当はしたくないけど･･･この際、莫迦で鈍感な君でも、知ってもらえばいいし。そっちの方が早い！」

なんて一人で考える名探偵に私は何だかよからぬ事が起きるのではないかと不安になった。