問うー芥川龍之介 ページ13
さて、愛について私の考えをお聞き下さい。
君に問う。なぜ、愛が必要か
私に問う。なぜ、愛さねばならぬのか
あなたに問う。なぜ、愛するのか
さて、答えは無限ではなくと数多くありますが、愛を欲しがった人は愛されるなら何をするのだろう。
あなたは何を想像した?
私は、愛の為ならば、誰かを殺めてしまうかも知れない。愛の為ならば、この身を滅ぼしてしまうのかも知れない。
愛し方は人それぞれ。愛され方もまた同じ。
さぁ!今宵の物語は、愛を欲しがった人間と、愛したゆえに全てをなくした悪食の話ー…、
「くだらぬ。」
読んでいた本を奪われ、本を乱暴に閉じると机の上に置かれた。
「?」
私は、よく分からない小説を読んでいた。暇つぶしに適当に選んだ本はハズレばかり。それを、彼はくだらぬ。と切り捨てた。
「悪食だよ。龍ちゃんと同じ、悪食の話」
「羅生門のことか」
「龍ちゃん自身も、私からしたら悪食だよ。」
「意味がわからぬ。」
わかってるくせに。と私は呟いた。
「・・・。」
「怒らないでよ。ほら、折角可愛い顔をしてるんだから」
彼の顔を手で包む。彼は、その黒曜石のような瞳を逸らさずに、私を見つめてくれる。
あぁ、その瞳が好きよ。光を宿さないその目が、私は大好物。
「何を笑っている」
「さぁ?」
私は何だか可笑しくて笑った。
「貴様は、自分の立場をわかっているのか」
「わかってるよ。けど、此処はつまらない。」
立場。というのは私は元はポートマフィアの人間だったが、退屈という理由で抜けた。けれど、数ヶ月後に、この芥川龍之介に捕まった。
「いいの?私のこと、言われなくて」
彼は、私を捕まえたとは言わないでいた。私は、彼が用意した部屋で光を奪われながら、闇に身を置いて暮らしている。
「私、龍ちゃんに何もしていないし、なりより、君に好かれるところが分からない。ねぇ、龍ちゃんはどうして私を選んだの?」
退屈はなにより嫌いだ。けど、理由を知りたくて此処に残っている。
「理由があれば、僕から離れぬか」
「理由による。だから教えて頂戴よ、どうして?」
でも、君はきっと知らない。私は、理由がどうあれ、芥川龍之介という存在がある限り、私は君の傍に居続けたいと思っているの。君はそれを知らない。きっと知らない。
「ならば問う。どうすれば、僕を・・・」
彼は何も言わない。
「龍ちゃん?」
彼は何も言わなかった。
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作者名:翼 | 作成日時:2016年6月25日 8時