【刀剣乱舞】伍・生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃二百六振り目 ページ15

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「ヤツの陣営に入るまでに、自力で歩けるようにしておけ。俺たちが手助けできるのは恐らくそこまでだ。後はお前の力で何とかしろ」

「出来るだけ援護はするけど、やっぱりほら、俺たちと三日月、山姥切以外はまだ影華から逃げ切ってないからさ。どうなるか分からないんだ。情けないけどな」

「A、己の力を信じるんだ。何があっても、俺たちはお前の味方だからな」


『...うん。分かってる。ありがとう』




敵は未だ多い。
この三振りも、今戦っている仲間の方へ援護に行きたいだろう。


...いや、こいつらの気持ちは関係ない。

――"行ってもらわないと困る"。


私はもう動ける。助けてくれてありがとう。もう良いよ。
あんたたちは、私に構わないで、自分たちの戦いをして。


そう言えるだけ、回復できたか確かめる。

今一度、両手を閉じ、開き。


...よし、ちゃんと動く。



そして丁度いいタイミングで―――。

影華の陣営が、見えてきた。





『伽羅』

「何だ」

『私はもう大丈夫。下ろして』

「...そうか」





おや、と思う。
何だかんだと言って、中々自分の事を離してくれないのではないかと思っていたのだが。

伽羅は素直に頷き、私を地に降ろした。


うん、ちゃんと立てる。

安心しつつも、私はふいと首を傾げた。
あれだけ一気に霊力を使って、その上体力も精神力も使ったにも関わらず、立てる。


審神者にとって、霊力の使い過ぎは命の危険に関わる。

神域に地割れを作るほど霊気を使ったのに、普通に立てているのはおかしくないか。



........。


ちらりと鶴丸に目を向ければ、すいー...っと視線を逸らされた。


あいつ...。

さっきの水に何か混ぜたな...。




『鶴丸...』

「いや俺は何もしてないししたいとも思ってないしそんな、水に何か霊力を回復させる薬を混ぜるなんて事は何も」

『...あーそ。...ありがとね』

「...！」




おたおたと慌てる鶴丸を見て、溜め息一つ。

そして、苦笑い。
右手を上げ、手を振る。


え、と鶴丸の瞳が見開かれた。


ま、結果オーライってことで。
私はこうして動ける訳だし。と、納得することにする。




『じゃあ、...行ってくる。皆も、皆の戦いを』

「A！無理すんなよ！」

「...こちらはすぐに片付ける。お前が心配する必要もない」

「伽羅坊の言う通りだ。俺たちに"苦戦"なんて言葉は似合わないからな」





こっちが終わったら、すぐにお前のところに行こう。

――俺たちは、見ている。

絶対にお前は一人じゃない。それを忘れるんじゃないぞ？



鶴丸は、そう言って笑った。


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