神 様 の 娘 【刀剣乱舞】

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約束通り九になったら小学校に通い始める娘の準備を、鶴丸国永は大層つまらなさそうに眺めていた。
筆箱やら鉛筆やらは拝見したことがあれど、ランドセルと言うなの箱と体操着袋何ぞ言うやつは見たことも触れたことも無い。

Aはそれを手に取ってひとつひとつ汚れや欠損が無いか確認しながら、学校から送られてきた持ち物の書類と照らし合わせていた。




「A、君本当に現世に行くのかい？」


『お母様がお決めになった事ですから、私はそれに従います』


「俺は君の意見を聞いているんだがなぁ……」




相変わらず母がよければそれでいいらしい。娘からこんなに想って貰える審神者は、母親として幸せ者である事間違いないだろう。


鶴丸国永は壁に預けていた背を離し娘の元へ向かい娘の小さな背中を何も言わずに抱きしめた。突然のことに、お父様？、と娘が問いかけるが彼は、んん、と返事をするだけで離す気配はない。

どうかなさったのですか、具合でも悪いのですか、と。心配で準備の手を止める娘を見て、鶴丸国永は内心細く微笑んだ。
そうだ。そのまま俺に興味を取られて現世の事など忘れてしまえばいい。君は此処に居て、俺達に守られるべきなのだ。


こんなに愛している。
こんなにも離し難い。
＿＿現世になんぞ行かせたくない。




「……一つだけ、父と約束しようぜ」


『約束？何でしょうか』


「どんなに現世での生活が楽しくて、どんなに住み心地が良くても、必ずこの本丸に帰って来い」




必ずだ、と念を押してくる父親が可笑しくなったAは可愛らしく笑いながら、わかりました、と頷いてしまった。

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