第１５４話 背中 ページ9
女「うっ･･･いったぁ･･･」
その人は、下半身がコンクリートの下敷きになっているようで、肘で何とか体を引き抜こうとしていた。
貴「大丈夫ですか！？助けに来ました！」
女「脚が挟まって･･･！！抜けないのっ･･･！！」
女の人の元へ駆け寄ると、女の人は私に縋るように声を上げる。
怖かっただろう･･･痛かっただろう･･･。
瓦礫の下敷きがどんなに苦しいか、どんなに痛いか･･･身をもって知っているからこそ･･･！
貴「もう大丈夫、今瓦礫をどかしますね」
テコの原理を使って女の人の下半身に上に乗っていた瓦礫を背中で支えるようにして持ち上げる。
ズキッ──･･･！！
貴「っ･･･！出られそうですかっ･･･？」
女「出れっ･･･ますっ･･･！！」
痛む背中を悟られないように女の人に声をかける。
這うようにして完全に瓦礫の下から移動しきったあと、瓦礫を下ろす。
貴「っ･･･！！もう大丈夫ですよ。さぁ、乗ってください。安全な場所までお送りします」
そう言って、女の人を背に載せる。
ズキンズキン･･･。
痛み出す肩口に、顔をしかめる。
でも、女の人には悟られちゃいけない。
平常心、平常心。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから約5分。
私は再び避難誘導所までたどり着く。
女の人を背中からおろし、警察の方に託す。
警察「！あなた、胸に血が･･･」
女「え、私どこも怪我なんて･･･」
そんなやり取りが聞こえ来る中、私は颯爽とその場をあとにする。
多分女の人の胸の辺りの赤い血は、私の背中の血が着いてしまったのだろう。
まだ、警察の人に静止されたくない。
そんな思いで、その場をあとにした──･･･。
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青谷地 桜華(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです･･･！不定期ではありますが更新頑張ります！(p`･ω･´q) (2020年1月27日 0時) (
レス) id: cdb735f519 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2020年1月26日 15時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青谷地 桜華 | 作成日時：2020年1月15日 21時
