第１６８話 託されたモノ ページ23
貴「･････他力本願だな････」
手紙を読み終わった時に、思わず口に出してしまった言葉。
ボールペンで書かれた文字は所々かすれたり、力を入れすぎたのか、インクが滲んでいたり、敗れていたりしている。
初めは丁寧な時で書いてあったのに、後半からどこか殴り書きのような印象のある、歪な文字になっていた。
お父さん、どんな気持ちでこれ書いたんだろう。
どんな気持ちで･･･
きっと･･･きっと･･･悔しかったんだろうな･･･。
だからこそ、力んで書いたせいで紙が破れたりインクが滲んだりしているんだろう。
書いている文字が、お父さんの感情の起伏が見て取れる。
『ごめん･･･な･･･A･･･お父さん･･･もう･･･お前のそばに･･･居られない･･･や･･･』
脳裏に浮かんでくる、お父さんの最期の言葉と物陰から顔を出した母親の顔。
貴「っ──･･･！！！」
ブンブンと頭を左右に降り、脳裏にでてきた母親の顔を消し去る。
消えろ、消えろ、消えろ、消えろっ･･･！！
「『A』」
貴「っ･･･！？」
名前を呼ばれた瞬間、誰かにポンっと頭を撫でられたような感覚に陥る。
顔を上げてみると、そこには亡くなってるはずのお父さんの姿が･･･。
「『A。お前なら大丈夫。･･･頼んだよ』」
頭に乗せられた、暖かい手。
かけられた、優しい声。
私に向けられた、柔らかい笑顔。
どれも全て、私の記憶にあるお父さんそのものだった。
貴「っ──･･･お、とう･･･さ･･･」
その姿を見た瞬間、涙が溢れ出てきた。
貴「っ･･･お父さんっ･･･！！」
私は、封筒ごと手紙を抱きしめるようにしてうずくまる。
そして、私は声を上げて泣い喚いた。
兄さんが慌てふためいて事務所を飛び出して、人を呼んでくるほどに、盛大に。
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青谷地 桜華(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです･･･！不定期ではありますが更新頑張ります！(p`･ω･´q) (2020年1月27日 0時) (
レス) id: cdb735f519 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2020年1月26日 15時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青谷地 桜華 | 作成日時：2020年1月15日 21時
