【刀剣乱舞】本丸が元通りになったので平和な私生活を送りたいと思います【笑えない冗談よし子さん】

誰かの為。笑えない ページ44

意外と簡易的だった健康診断を無事に終え、約束通り甘味処に寄って山姥切さんご希望の餡蜜を食べた。
私達だけでは申し訳ないから、皆さんへのお土産に三色団子を買い占めておく。おやつにでも食べよう。

すごい本数の三色団子の会計を待っていると、別の本丸の今剣さんを連れた審神者さんが店内に入って行った。

他の審神者さんを見たのは初めてだった為、思わずガン見したことは秘密です。




「向こうの僕は、いいですね」




ぽつり。今剣さんがそう呟いた。
何が？と疑問を向けるのは、彼の今の雰囲気からして違うと判断し、黙る。




「僕の喋り方は、前の主様から嫌がられてたんです。子供っぽい、聞いてて不愉快、ちゃんと喋れないのか、って。」


『……』


「今剣……」


「大人っぽいでしょう？僕って」




へらっと笑みを見せる今剣さんに、私と山姥切さんは更に何も言えなくなってしまった。

確かに、通り過ぎて行った今剣さんよりもこっちの今剣さんは大人っぽく見えたのは事実。仕草は同じでも身に纏う雰囲気と、話し方が他の今剣さんから離れていた。


……でも、それが一体なんだって言うんだ。




『貴方は前任の意に答えた結果がこうなってしまったなら、恥じる必要や戻す必要はないのでは？

誰かの為に自分を変えるのは容易い事じゃないと思いますし』




背後に恐怖心があったとしても、傷つけられるのが嫌だったからだとしても、自分を変えようと努力した今剣さん。
……いや、詳しくは今剣さんだけではないのかもしれないわ。隣にいる山姥切さんだって、望まれて変わった方かもしれない。




『それに貴方は私の刀です。
私の、たった一振の今剣です。

……こんな主で不甲斐ないとは思いますが、胸を張ってくださいね』




ぽんっと彼の頭に手を置いてゆっくりと撫でる。彼は小さく「ありがとうございます」と言って、そのまま撫でられ続けた。

(山姥切さんがほぼ空気扱いなのは許して)

団子。笑えない→←健康診断。笑えない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す