伍＊刀の名前 ページ8
「覚えていらっしゃらないようなので、改めて…」
１つ咳払いをすると、彼は胸に手を添えた。
「私の名は一期一振。主殿の為に刀を振るうと決めた１振りです」
熱烈な愛の告白に聞こえなくもねぇ台詞がよくもまあスラスラと出てくるもんだ。
多少の苛立ちを覚てしまうくらいに輝いて見える。
「一期さんですね。忘れていたこと、本当にすみませんでした」
「いえ、お気になさらずに」
軽く頭を下げると、一期さんは困ったように微笑んだ。
カメラを買って刀帳を作るべきだな。
――――とか思っていらないノートを探していれば、出てきた。刀帳。
「早く…早く探してみるべきだった……」
私はそれを両手で掴んで畳に突っ伏しているところだ。
あれから一期さんがお盆を下げてくれて、政府からの仕事も長谷部さんがすると直々に報告しに来てくれたのだ。
『今は絶対安静です。仕事も俺が片付けておきますので、どうぞごゆっくり』
『いえ、そんな…悪いですよ』
『気を使って頂かなくても結構です。それでは、また後ほど』
なんて言葉のキャッチボールがされた後だ。
彼らとは、何となくまだ距離を置かれている気がしてならない。
やる事もなくて暇だからってこともあるけど、流石に何度も自己紹介させるのは気が引ける。
「死ぬ気で覚えよう」
これはテスト前日の復習と同じだ。
サボっていた分を取り戻すために血眼で勉学に励む学生の時代に戻るだけ。
――その晩、訪ねてきた刀に刺されるまで刀帳と睨めっこしていた。
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まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^これからも、お身体に気をつけて頑張って下さい^_^ (2020年3月18日 0時) (
レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2018年10月27日 12時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒタリ | 作成日時：2018年10月4日 1時
