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決戦*捌 ページ47

そして、私は鶴丸さんの腹部に剣を突き立てた。

皮膚を裂き、肉を突き破る感覚が伝わってくる。

深くまで突き刺さり、鮮血が滲む。

柄を伝って血が滴る。

「ごふ…っ!」

口から血を吐いた鶴丸さんは、力の入らなくなった手から刀を落とした。

一気に静まり返り、刀が石から弾かれる音だけが、1つ鳴り響く。

「がはっ…!ぁぐっ!」

ずるりと剣が抜け、開いた穴から血がゴポリと溢れる。

そのままお腹を押さえて膝から崩れ落ちた鶴丸さん。

「はぁ……はぁ……」

肉体を貫いた感覚が、未だに残る手は震えが止まらない。

バクバクと心拍が上がり、上手く呼吸ができない。

鶴丸さんから黒い瘴気が出てきた。

そして、その分白く染まっていく衣装。

髪の毛まで白くなったところで、赤が目立つようになった。

その範囲は尋常ではなく、赤というより、黒に近い。

「は、はは…やれば……できるじゃ、ないか」

息も絶え絶えに言葉を紡ぐ鶴丸さんは、私を見て微笑んだ。

「つ、鶴丸さん……手当てを…」

「これで、君の勝ちだ……遡行軍も帰っていく…」

本丸に侵入できるはずのない遡行軍は、チリとなって空に上がっていく。

黒雲が消え、青空が見えてくる。

「なぁ君……まだやることは、ある。

……その迷惑な神を…君の力で消すんだ……」

「その前に手入れをしなきゃッ…!」

「優先順位を間違えるな!!」

唐突な怒鳴り声に、ビクリと肩が跳ねる。

鶴丸さんは私を睨みつけ、口を開いた。

「今の君では…手入れなど出来ない」

「ッ!」

それもそうだ。

今の私の体は、8割があの神様のもの。

審神者の力は2割。

それだけでは重症の鶴丸さんなど手入れはできない。

「…分かり、ました」

そして私は、中にいる神様を本丸に移す儀式を行った――。

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まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^これからも、お身体に気をつけて頑張って下さい^_^ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年10月27日 12時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒタリ | 作成日時:2018年10月4日 1時

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