参拾壱＊新選組の刀２ ページ37
私を庇いながらというのは、大分キツイのだろう。
和泉守さんと清光が押されているようだ。
「退けよッ！！」
「うるせぇ！主を殺したかったら俺を折ってみろ！！」
安定と和泉守は、峰打ち同士で争っている。
「加州さん、どうしてその人を守るの？」
「簡単だよ。前任とは別人だから」
清光と堀川くんはお互いの様子を探るようにして、無闇に斬りかかることはしていない。
どうしてこうなったんだろう…？
私がここにいなければ、仲間内での争いは起こらなかったのかな？
私がいなければ…。
「やかましいぞ！！お前達！」
その大声に、私達は身を固くして反射的に庭を見た。
視線の先には、仁王立ちで腕組みをした1人の男性。
ガタイがよく、現代でいう"おっさん"だ。
「仲間内での争いはやめろ！今すぐに刀を納めるんだ！」
威厳あるその存在感に、何故だろうか。
4人は大人しく納刀し、睨み合いを始めた。
その中で、彼は私の方へと歩み始めた。
目の前に着くと、ボロボロの手を差し出して笑った。
「突然怒鳴ってすまない。俺は長曽祢虎徹だ。
新選組局長、近藤勇が使用していた刀だ」
「よろしくな！」と言われ、私は彼の手を握った。
「長曽祢さんまで！ソイツの何を信用するのさ！！」
気に入らなかった安定くんは、縁側をおりて長曽祢さんに食ってかかった。
長曽祢さんは、そんな彼を涼しい目で見下ろす。
「むしろ何を疑う？コイツはあの審神者と同じ行為を1度でもしたのか？」
その問いかけに、安定くんは言葉を詰まらせた。
やがて、怯えた目で私を見る。
「…君は、刀の誰かの手入れを怠(ｵｺﾀ)った？」
唐突に質問され、最初は戸惑ったものの、首を横に振った。
「君は…誰かに手を上げた？」
私は首を横に振った。
「君は……僕達を愛してくれるっていうの？」
疑うような眼差しのようで、怯えた眼差し。
それが分かったから、私は微笑んだ。
「うん」
すると、安定はくしゃりと顔を歪めて、抱きついてきた。
「ごめんッ…本当にごめんなさい…！」
そっと背中に手を回すと、清光が羨ましそうに声を上げた。
安定は、ただ単に、本当に単純に、壊される前に消そうとしていただけ。
ただ怯えていただけなんだ。
「大丈夫だよ。手入れ部屋に行こう？長曽祢さんと堀川くんも一緒に」
そう言って2人を見ると、長曽祢さんは快く頷いてくれた。
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まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^これからも、お身体に気をつけて頑張って下さい^_^ (2020年3月18日 0時) (
レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2018年10月27日 12時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒタリ | 作成日時：2018年10月4日 1時
