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弐拾漆*審神者の守護神 ページ33

また夢を見た。

真っ白な空間だったから、すぐに彼を探す。

「君は俺の予想を遥かに上回る阿呆なんだろうな」

「わあ!?」

探す行為が無駄な労力だったようで、彼は私のすぐ近くに腰を下ろしていた。

胡座をかいて、退屈そうに頬杖をついている。

「鶴丸さん…」

「さっきこの夢から覚めたというのに、またすぐに戻ってくるしなぁ?

全く、驚きだぜ」

呆れたような溜息をついて、スイっと前方を指さした。

その先を目で追うと、そこにはピンク色の煙のようなものが揺れていた。

「何ですか?アレ」

「アレは君の中にいる神だ」

「へぇ〜…え!?」

立ち上がりながら言う鶴丸さんを弾かれたように見る。

だが、鶴丸さんとは目が合わない。

「ちなみに、君をこの空間に呼んだのもアイツだ。

そして、俺の体を使って君を守っているのもアイツ」

そう言われ、ハッとした。

つまり、鶴丸さんはここに閉じ込められているのだと。

「魂だけの俺を利用して、器となる俺で君の守護をする。

何とも迷惑な神様だ」

私の痛みを肩代わりしたのは、彼ではなくあの神様。

「私の守護神ってことですか??」

本当にそんなものが存在するのか。

「まぁそうなるが…元は違う。

君、本当に覚えてないのかい?」

鶴丸さんは、ようやく私を振り返った。

覚えてない…その意味を込めて頷く。

私の反応を見て、「そうか」とだけ呟いて再び桃色の煙(?)に視線を戻した。

「幼少時の君は、ある森の中の祠(ホコラ)を壊してしまった。

そこに眠っていた神は、怒りはしなかったものの、君を気に入ってしまったんだ。

その神は人の人格を遊びで変える」

「それがアイツだ」と鶴丸さんは目の前の煙を指差す。

私も煙を見てみるが、それは変わらず揺れているだけ。

「本当に迷惑な小娘だ。…だが、退屈に殺されずにすんだ」

そう呟いた鶴丸さんは、実に楽しそうに笑った。

そして、何かを思い出したように「あぁそうだ」と手の平を打って私を見た。

「君、まだ俺には会わない方がいい…って、あの神様が言っている」

「え、声が聞こえるんですか?」

私の問いに、彼は頭(カブリ)を振った。

「何のために君の意識を此処へ連れてきたと思っている。

そういう合図だからだ」

腰に手をあてた鶴丸さんは、言葉を続けた。

「待っていると言われたからだろうが、すぐに行くか?

あっさり殺されるに決まっているだろう。

だから君は阿呆だと言ったんだ」

その言葉に少し棘と距離を感じた。

弐拾捌*お説教→←弐拾陸*人間か否か



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まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^これからも、お身体に気をつけて頑張って下さい^_^ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年10月27日 12時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒタリ | 作成日時:2018年10月4日 1時

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