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捌*人間について語る刀(神) ページ11

私は手当てをしてくれる彼に甘えて言うことを聞いた。

「アンタ、番(ツガイ)はいるのか?」

「い、いませんよ!私はまだ未成年ですし」

「はあ!?みせいねんって…まだ若ぇのか!?」

何故そこまで驚く。

そんなに老けて見えるかよ、お兄さん。

「何で嫁入り前の娘が男だらけのここに、しかも、堕ちる寸前の奴までいる腐った本丸に来たんだ」

やや怒りを含めた声が、背中に突き刺さる。

嫁入り前だから、ってのもあるんじゃないかと思うが、それは口に出さなかった。

「まだ腐ってませんよ。皆、死んでなんかいません」

「死んだも同然だろ。さっきの国広みたく、アンタを襲ってくる奴も居るんだ」

「もう少し危機感をだなぁ…」ブツブツと文句を言いながら、せっせと手を動かしている。

何だかんだ優しい刀だ。

「心配、してくれるんですか?」

「…おうよ。アンタのことは頼りにしてる」

いや、初対面ですよね??

何だこの信頼性。何故なんだ。

「最近、加州が前より笑うようになってんだ」

はあ〜納得。なるほどなるほど。

「清光、愛されてるんですね」

「あ?何でそうなんだよ」

「だって、他にも清光が笑ったのを理由に私の元へ来た人はいたんですよ」

「…大和守か」

ボソリと呟いた声は、やけにハッキリ聞こえてきた。

その大和守っていう刀は、清光が好きなのか。

はあ、どっち方面でだろうか((殴

「ほらよ、出来たぜ」

話し込んでいるうちに、手当てが終わったようだ。

着物を直しながらお礼を告げると、彼は私の目を見据えた。

「アンタは人間だ。俺たち刀とは違って、怪我が治るのに時間がかかる」

「そ、そうですね?」

「…ヘタすりゃ死ぬ」

「はい。ですから、手当てをして…」

「間に合わねえ時もあるんだぞ!!」

突然、ドンッと畳を拳で殴りつけた。

そこで、ようやく気付いた。

彼の瞳はずっと怒りを宿していたことに。

「アンタは何も分かっちゃいねえ…若ぇからか、己の命に疎すぎるんだ」

何をこんなにキレているのか…何となく分かる。

命を顧(カエリ)みず、ここに留まり、土足で踏み込もうとしている私に、心底腹を立てているのだ。

「薬研がアンタを気にかけて、加州が常にアンタの元へ行こうとする。

アンタと話してようやく分かった。確かに早死にしそうな人間だ」

優しい刀だと、つくづく思う。

仲間の行動を理解しようと、自ら動いて私のことまで心配している。

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まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^これからも、お身体に気をつけて頑張って下さい^_^ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年10月27日 12時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒタリ | 作成日時:2018年10月4日 1時

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