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参拾捌*三条の刀2 ページ39

私の声に被さってきた声の主は、短刀の彼の後ろからひょっこり顔を出した。

そして、バチッと音がしそうなくらい正確に目が合った。

「…審神者か」

「ウィッス……審神者です」

デカイ…デカイしゴツイぞ…コイツぁやべえ。

そんな感じで放心している私を他所に、彼らは話し始めた。

「岩融、あたらしいさにわがこんのすけをさがしてるみたいなんです」

「何と!一体何の用事で」

「さあ…ひとのこいわく、"ポンポン"するそうです」

彼の言葉に、ゴツイ刀が首を傾げた。

「はて、ポンポンとな……どういうことだ?」

「あ、打ち子で…こう、ポンポンと」

やっと意識が戻った私は、手にしている打ち子を軽く振った。

「ほう!手入れか!!それは有難い」

彼は瞳を輝かして私の腕を掴むと、部屋に引きずり込んだ。

え、いやぁぁぁ!!処刑されるッ!たすけて!!

脳が錯乱状態に陥ったのも束の間……

彼らは目の前に並んで座った。

「よろしく頼む!」

「……くれぐれも、ひどくしないように。うっかりきってしまうかのうせいがあるので」

短刀の彼が怖い……。

私はビクビクしながらも、優しく傷に打ち付けた。

しばらくして、彼らの傷が無くなると、急に元気に立ち上がった。

「お、ぉぉおおおお!!!体が軽い!」

「ほんとうになおりました!きずのないからだはひさしぶりです!!」

それはそれは嬉しそうに笑うもんだから、私も釣られて笑ってしまった。

すると、短刀の彼が私の手を握った。

「"あるじ"さん!ありがとうございます!!」

「へ、あ、いえ…どういたしまして」

さっきとは打って変わって、親しげに話しかけられて戸惑う。

「ぼくは今剣。よしつねこうのまもりがたななんですよ!どうだ、すごいでしょう?」

「俺は岩融!武蔵坊弁慶の薙刀よ!」

ほうほう、義経公の守り刀と弁慶の薙刀……

へっ!?え、じゃあこの二振り…

「あ、あの有名な関係のあの二人の刀!?」

あまりの驚きについ指を指してしまったが、二振りはそんなこと気にも止めなかったようだ。

「えへん!そのとおりです!」

「す、凄い…まさかあの人達の刀に会えるなんて……」

こう見えて、私は歴史が好きなのだ。

特に弁慶と義経の話は感極まるほど感動した。

「何だ何だ!俺達に会えたのがそんなに嬉しいか!」

「嬉しいです!!あの2人の話は好きなので!!」

「すごいよろこびようですね…うれしさとおりすぎてすこしひきます」

「そこ引くの!?」

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作者名:ヒタリ | 作成日時:2018年8月28日 23時

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