【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ34)

今日:9 hit、昨日:28 hit、合計:64,053 hit

参拾参＊真実のち涙ページ34

「よく気づきましたね！審神者さん」

「…すまない」

輝かしい笑顔で入ってきたのは、黒髪を下で束ねた子。

台詞と表情が一致してない薄紫色の髪の子は両手にあの子達の手を握っていた。

あの―…誰だっけ。

小虎の子とおかっぱの子。

「貴方の腹を貫いたのは俺！ほら、この刃にこびりついてる真新しい血が審神者さんの――」

「――大将、俺っちはこの刀を使ったんだ」

自分の刀を私に見せびらかしていたが、薬研がぶんだくった。

それでも尚、ニコニコと愛想のよさそうな笑みを浮かべていた。

実に気味が悪い…。見ていると寒気がしそうだ。

「…そっか。なら納得できるね」

「……それだけか？」

ポカンと呆気にとられた薬研の顔に首を傾げた。

話は逸れてないし、これ以外に言うことはないだろうに。

「大将……やっぱりアンタは優しいな」

そう呟いた薬研は、泣き出しそうな顔をしていた。

いや、実際に泣いていた。

静かに頬を伝って床に落ちていく雫は、我慢し続けていた彼の心のようだ。

ぽつりぽつりと落ちていく。

やがて顔を伏せてしまい、もう表情は見えない。

泣いているのに、まだ何かを堪えるように拳を握りしめていた。

背後からも、すすり泣く声が聞こえる。

扉付近にいる彼らは、ただ目を見開いて私達を見ていた。

「薬研」

私は黙って薬研を抱き寄せた。

どう声をかければいいのか、分からなかった。

でも、薬研はそんな私に応えてくれるように体を委ねてくれた。