【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ24)

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弐拾参＊ノーガード審神者ページ24

先程まで揺らいでいたがピタリと止まり、しっかりと私を見ている。

その瞳は強い意志を込められた瞳に変わっていた。

『弟を……頼みます…』

か細い声はとても頼りなく、それでいて芯の強さを感じさせた。

私は黙って頷く。

"任されました"

その意味を込めて。

私の行動を確認した彼は、安心したようにゆっくり瞼を閉じた。

『いち兄！！！目を開けろッ！！』

『何だよ…何だよ頼むって！巫山戯んなよ！！』

『ねぇ！ねぇってば！！誰に言ったの！？』

３人の声を聞きながら、私は立ち上がった。

改めて確認すると、私が既に出会っている短刀。

胡座の少年、短髪の少年、男の娘。

兄を失ったことのダメージが大きすぎたのだ。

だから、刃を向けてきた。

私は何故か落ち着いていた。

夢だからか、2度目だからか…。

ゆっくりと息を吐きながら、目を閉じた――。

―――そっと瞼を上げると、もうそこは現実。

「起きた？」

近くで声が聞こえ、視線をさ迷わせる。

ここはさっきの部屋だ。

奥にいた刀達は何処へ行ったのか、1人もいなかった。

そして、横たわる私の隣に寄り添うように座る"彼"を見つけた。

長髪の女の子の見た目をした少年。

「起きた…おはよう」

あの夢を見たあとだからか、彼に怯えることはなかった。

そんな私をじっと見つめる、透き通るような青い瞳は不安気に揺らいだ。

「…何も言わないの？」

一瞬だけ何のことかと思ったが、お腹の痛みですぐに理解する。

"攻撃したのに、警戒もせずに返事をするなんて有り得ない"

そう言いたげな目を見据える。

「何て言って欲しいの？」

逆に質問で返されて、彼は顔をしかめた。

「別に何かを欲しがってるわけじゃないよ。何かあるでしょ？言うこと」

「言うこと……何で手当てしたの、とか？」

「そうだよ。他にも刀解してやるとかね」

「刀解か……面倒くさそうだね」

彼は提案してくれているのだろう。

こうすれば、もう傷つくことはないだろう…と。

「そこまで難しくないよ。刀を折るだけだし」

「刀を折るくらいなら紙を折りたいな。折り紙をしたい」

「…折り紙」

やんわりと拒否して、私は別の提案をする。

死ぬ前に仲良くしよう…と。

彼はすぐには何も言わず、「折り紙」という単語を呟いて黙り込んだ。