【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ44)

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参拾参＊田嶋ガ居ルページ44

身内を守ってあげて欲しいという私の言葉に、長谷部の他にも、彼らは笑顔で承諾してくれた。

私のブラック本丸の浄化は、まだこれからだ。

「…あるじさま、すこしつたえておきたいことがあります」

「うん？何かな」

今剣が、かしこまって私に近づいてきた。

自分の拳を片手で包み込み、意を決したように私の目を見据えてきた。

「ぼくたちの刀派、三条には、あとふたふりいます。そのうちのひとふり、小狐丸はふかいねむりについているんです」

後半らへんから、彼の目は潤みだした。

今にも泣き出しそうな瞳は、強い意思が宿っていた。

「小狐丸はていれをすればめをさましてくれるでしょう。でも、もうひとふりの三日月宗近は……」

"どこにいるのかがわかりません"

そう告げられた瞬間、ぞくりと背筋が凍った。

黒く悍(ｵｿﾞ)ましい何かの気配を感じたのだ。

心拍が速く脈打ち出し、手が震える。

悟られまいと布団を握り締め、今剣から目を逸らさないようにした。

「分、からないって……どう、して？」

「ぜんにんによばれてから、すがたをみないんです。そして、そのなんにちかご、鶴丸国永というかたなもみかけなくなりました」

【鶴丸国永】…情報には政府が見つけたらしいが、皆は会ってないのか。

脳の片隅でそんなことを冷静に考える。

それでも、無意識に息が上がっていく。

心拍数は速くなるばかり。

嫌な予感がする。この気配は―……。

……――――田嶋だ。

近くに田嶋がいる。すぐ近くに。

「…？大将？どうかしたか」

「主君、気分が優れないのですか？」

私の様子に気づいた厚と前田くんが、気遣わしげに顔を覗き込んできた。

「大丈夫」だと、「平気」だと笑いたかった。

でも、私の脳がそれを許してくれなかった。

「ち、近くに……田嶋が…」

そう口にした瞬間、しまったと脳が音を鳴らす。

慌てて顔を上げると、案の定、彼らは顔を青くしていた。

「今…何て？」

小さく呟いたのは燭台切さんだろうか。

思わず口元を抑えて、顔を下げた。

すると、一番近くにいた今剣が私の肩を強く掴んできた。

「あるじさま…いま、チかくに田嶋ガいるトいいましたカ？」

真っ赤な眼孔を開いて、強く、強く肩を掴んでいる。

今剣の瞳に、黒い何かが映る。

ドロリとした何かが、彼に流れている…。

「痛っ…痛いよ、今剣…！大丈夫だから！」

今剣の力は緩まず、むしろ増していくばかりだった。