1回目の壊顔 ページ2
つまらない1日。変わらない日々。
人間というものは、なんて不平等なんだろう。
今日も、絶対に変わらない、変われない、私の1日が始まる。
＿＿＿＿＿＿＿
学校に着いた。
やっと高校での生活に馴れてきたけど、学校はやっぱり嫌いだ。
人が多いし、気をつかうことも多いから。
自分の教室の近くまで来ると、深呼吸して、“壊顔”をつくる。
壊顔で教室に入ると、またあいつがやってきた。
「あ！Aおはよ〜！」
「愛梨おはよ！」
こいつは何かと私に絡んでくる 愛梨。
向こうは友達だとでも思っているのだろう。毎日声をかけてくる。
もううんざりなのだが、態度に出すと嫌われるからずっと笑顔でいる。
今も私は満面の笑みを浮かべている。
「え〜、今日もAかわいい〜！さすが愛梨の親友〜！」
「えー？愛梨の方が可愛いじゃん！何言ってんのー？w」
「んぇ〜？そおかな？愛梨の方がかわいいのかなぁ〜？」
「そうに決まってんじゃん！愛梨は私の誇りだよ〜？」
「うん、そうだよねぇ〜、ありがと〜！私A大好き〜！」
「ありがと、あ、HR始まる！じゃあね、また後で！」
「うん、ばいば〜い！」
なんとかのりきった。
あいつは、私のことを親友と思っているらしい。
めんどくさい。嫌いなのに。
そもそもあの性格からして無理だ。
自分のことを名前で呼ぶなんて。
私たちはもう高1。子供じゃない。
その上、自分が可愛いと勘違いしている。
あいつは底辺の顔をしてる、ぶりっこ。
こんな最悪な人間はいないんじゃないか。
ああ、私の方が最悪か。
自分で言うのもなんだが、こんな人間他にはいないだろ。
窓の外をぼんやり眺める。
しばらくすると、担任が入ってきた。
私は優等生(を演じてる)なので、しっかり話は聞くようにしている。
でも今日はそんな気になれなくて、ずっと窓の外を見ていた。
いつの間にかHRは終わっていた。
あいつの声で我に帰る。
「A〜、次移動だよ？早く行こ？」
「あ、ごめん。行こっか。」
「うん！」
私はあいつに続いて歩き出した。
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