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――間に合わない。
瞬時に理解したはずなのに何故か体は動いていた。
無意識にも咄嗟に玄関前すぐ近くのリビングへ繋がる入口へ滑り込みドア枠の約2cm弱の出っ張りに指をかけ90度に曲がった壁を遠心力で曲がり何とか爆発物から壁一枚を挟み逃げ込むことが出来た。
昔よく不意を突かれ続けたバックファイヤーに慣れ過ぎたせいで、マフラーのパンクで黒すすまみれになった経験がまさかこんなところで命拾いするなんて誰が想像した。…いいや、想像もしたくない。
そんなことより、なんだか視界がぼやけている。それに焦げ臭い。
火災報知器の音がする――。その思考にたどり着いた瞬間、私は既に床に這いつくばっていた。それに気づいた私はバッと背を起こす。気絶していたんだ。
その事実に気づき慌てて自分の身体をまさぐるが身体に外傷はない。ただ、もうすでに想像以上の煙が家中に充満しており火災報知器が鳴り続けている。室温も明らかに高くなってる。
一体爆発してから一体どれくらい時間が経ったのか。慌ててスマートフォンを手に取るが自身が所持していないことに気づいた。
そうだ、赤井さんとの通話途中に宅配便が来て洗面台にミュートのまま放置していたんだ。
あの時持ち出しとくんだったと思ってもすでに後の祭りだ。リビングにある固定電話は等の昔に解約し使えない。あの人に、あの子に連絡をかけるには、もう取りに行く以外の方法はない。
私は来ていた服を脱いでタンクトップになるとその服で口元を塞ぎ頭の後で袖と袖を強く結んだ。
ある程度煙は慣れてるから数十分は絶えられるはず、あとは私の目が持ってくれるか次第だ。
レイス・ヴィリアント――いや、レックス・アンダーソン。
私はあなたが仕掛けてくるのを私はずっと待っていたんだ。
玄関前は既に炎が上がっていて出入りは厳しい、身を屈めながらリビングの後方のドアから遠回りし洗面台へと向かい、未だ洗面台の端に置いてあった自身のスマートフォンを手に取るとまだ通話は続いているようだった。
「三時間!?」
通話時間を見て私は思わず声を上げた。
気絶して三時間も経っていたなんて、通りで煙があんなに経っているいるわけだ。
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作者名:冬 磨 | 作成日時:2022年11月13日 14時