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元から彼女は病弱だった。
心臓に腫瘍を抱え、学校生活もまともに過ごせては
いなかっただろう。
体育の授業も、修学旅行も、マラソン大会も
君はいなかった気がする。

学生時代は月1の通院で済んだが
年齢と共に身体を蝕む。
もう、外を歩くことや天を拝むこと
手を繋いで出掛けることすら
叶わなくなってしまった。

病院という名の鳥籠から出られないのだ。





「 そっか 」


「 抱きしめて、○○くん 」





外の方を見て彼女と目を合わせないように
していたのを方向転換して
優しく、昔より小さくなった背中に腕をまわした。

点滴のついた腕をゆっくり動かして
首にまわしてくれる。





「 あとどれくらいなの 」



「 もって、三ヶ月かな 」





三ヶ月。
時間にして、約2160時間前後。
大人になると時間は早く進むよ、と誰かが言ってた気がするが
正にその通りで、20年そこらの俺ですら
早くて1週間なんてあっという間だ。

あっという間の時間しか、もう過ごせないというのだろうか。





「 短いね 」


「 短くないよ 」





鼻を啜る音がして俺まで涙が零れそうになってしまった。

死なないで、と思うより何秒も早く
死にたくない、という彼女の気持ちを感じる。





「 俺より先に死ぬとか、やめろよ 」


「 いっそ、俺も 」


「 ううん、ダメ 」


「 生きて 」




震えた声で話す君をぐっと離せば
涙で濡れた顔を慌てて隠そうとする。
そんな暴れる手を俺は握った。




「 ……… 」



「 尽きるまで、一緒にいることぐらいいいよね 」



「 1秒たりとも、お前の傍離れたくないから 」



「 _うん、ありがとう 」




また、君は泣き出した。

#→←夕立ちに手を叩け



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ちょこ - とてもよかったです! (2020年7月11日 23時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Touka | 作成日時:2019年6月28日 20時

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