Masquerade 6

case special 12 side F ページ41

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昔の俺をホストだと思ってたとか、ちょっと面白い。
それだけじゃなくて、少しだけ嬉しくなった。
だって、それを口に出して言うってことはさ、あの頃より俺達の距離が近付いた証拠だよな？
だからもっと言わせたくなった。

俺の事、格好いいって言わせたくなった。

ファンの子とか、みんなが言ってくれるけど、そうじゃなくてAに。
その声で、その口から格好いいって。
恥ずかしがって俯くAの髪を耳にかけて、いつだって正直な色を宿す耳を俺から見えるようにしたのは……
俺の欲の現れ。
だって、俺はいつもその耳に触れたいって思ってたから。

「太輔さんは……格好いい……です……////」

真っ赤に染まったまま口を開くAは、想像以上の破壊力を持ってて……。
抱き締めたくてたまらなかった。
でも、Aはスルッとそれを躱すんだ。

何だろ……この時、初めて少しだけ疑問を持った。

Aの態度？
何て言うか……芸能人との付き合い方に慣れみたいなものを感じたんだ。
それは、渉のプレゼントを買いに行く時も感じて。
迎えに行った時に何も言わずに当たり前みたい後ろに乗った時はホントに驚いた。
何で？って。

Aの側に、俺や北山以外に誰か……いるの？

そう思ったら、何だか堪らなくなって。
俺は、甘い罠を仕掛けた。少しずつ近付く。
A自身が気が付かないくらいゆっくりと。
指を絡めて耳にキスして唇にキスして抱き締めて、

好きだと告げた。

Aは、嫌がってはいなかった。
それは確実にわかる。
でも、戸惑ってるのも伝わってきたから、逃げ道をあげるために今は答えなくてもいいよって。
ホントは少しだけ怖かった。
今すぐ決断させたら、きっとAは中途半端を嫌がって断るだろうから。
9年か……長いなぁ……俺、9年前って何してたっけ？
高校生……だよな？
その間、ずっと同じ人を好きだったってこと？
そんな想いの深さを感じて……この時、ホントに思った。









"この子を俺のものにしたい"って。

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