Masquerade 6

case 271 ページ35

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窓の外の景色に、

都会の喧騒が戻ってくる。









近付く終着点。









私が思ってはいけないけど、

少しだけ寂しくなる。









宏は優しいから、

きっと次に会っても変わらない。









だからこそ、

私が気を付けなきゃいけない。









宏の優しさに、もう甘えちゃいけない。









ちゃんと、言わなきゃ。









そんな思案の中、

車内で流れる宏たちのグループの歌。









あれ……？









この歌……宏の声しかしない。









『宏、これソロ？』









「ん？ああ。」









『ソロもあるんだ。』









「まぁな。」









『頑張ってんだね。』









「てかさー……」









『ん？』









「お前さ、俺と藤ヶ谷と知り合いで、

横尾さんにも会ったことあんのに……。

もうちょい俺らに興味持てよ(笑)」









『あ……ごめん……。

あんまテレビ見なくて……。』









充を見たくなくて、

あんまりつけなくなったテレビ。









今もその習性が残ってしまっている。









深夜とかだと、

充は出ないからわりとつけるけど……

当然、そんな時間には

音楽番組はやってない。









だから私は未だに

"アイドル"の宏も太輔さんも知らない。









「なぁA。」









『ん？』









信号が赤になって、

宏が後ろを振り向く。









その瞳は、ひどく複雑で。









混ざった色合いの中に宏の決意が見える。









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「俺らの中で、誰が一番好き？」

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