Masquerade 3

case 104 ページ6

.



「…………。」









下を向いたまま、差し出したプレゼントに

何の反応も返ってはこない。









やっぱ、迷惑だった？









『あの……。』汗









恐る恐る顔を上げたら、

藤ヶ谷様と目が合う。









藤ヶ谷様は、ハッとした顔をされて

そして……









「ごめん、驚いて……

ありがとう、嬉しいよ。」









っ……////









.









初めて見る。

甘い甘い柔らかな笑顔。









.









耳に熱が集まる。









藤ヶ谷様が柔らかく微笑まれ、

その紙袋の紐を持つ私の手を

下から掬うように触れる。









何っ!?……////









手っ‼









手っ‼









細くて長い指先が、









.









私の掌を、









.









ツーと撫でるように触れて、









.









紐を受け取って離れた。









.









.









ゾクリと









.









.









した─────。









.









眼差しが放つ色気は、

男の人とは思えない。









フェロモン……って言うの？









囚われるっ……////









心臓が脈打つ。









「Aちゃん。」









『……は、はい。』









「俺……さ…………」









瞳の甘さが揺れる。









溶けそうなくらいの、









『藤ヶ谷様……？』









甘さを帯びた瞳が、その甘さをそのままに

熱を宿す。









初めて見るオトコの色。









「いや、ごめん……何でもない。」









フッと逸らされた視線に思わず息を吐いた。









それで、呼吸さえ止めていたことに気付く。









私の前で、藤ヶ谷様が笑う。









え……？









どうして……？









藤ヶ谷様の浮かべた笑顔は、









見覚えのある……

作り笑顔。

case 105→←case 103

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す