ICE DOLL 2

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「っ……お前……」


熱く火照った身体を宏光に押し付けていれば、少しだけ驚いたように宏光の声が上擦った。
戸惑っているみたいだけど、私だって同じだ。

こんな風に、物欲しげではしたない自分を持て余してる。
けれど、この気持ちに今更蓋をすることなど出来ない。
本当はいつだって宏光に触れたくて。
触れてほしくて。

熱っぽく顔を上げれば、それ以上の熱と欲を宿した瞳の宏光がいて。
宏光は口の端で小さく笑って私の唇にまたキスをする。
小さく触れて額をくっつけて溜め息を吐き出した。


「……ホント、ヤバいわ……」


「ん……？」


「……お前さぁ、煽ってる自覚あんの？」


「……それなり、に？」


「マジ余裕ねぇわ、俺……。Aはいつも俺のこと目一杯振り回してくれるよな。……ここが忙しいわ。」


そう言いながら自分の胸に手を当てる宏光。
そんなの、お互い様だ。
宏光と一緒にいると、いつだって心臓は忙しなく縮んでは震えあがって音を奏でるし、指先はどうしようもないほど宏光の肌に触れたいと望む。
唇からは吐息が漏れて、閉じ込めていた想いが溢れそう。

どんな些細なことだって、幸せだと感じられる。
どんな些細なことだって、悲しくてたまらなくなる。
宏光の全てに一喜一憂する私は、ひどく滑稽だと……ずっと思ってた。

けれど。
同じだったのだろうか？

宏光は宏光で、私の言動で行動で揺れてくれていたのだろうか。


「……はぁー……」


胸の内を満たしていくもの。
甘い何か。
凍らせていたはずの心を溶かして、気が付けばそれは溢れ出してしまう。


「……好き……。」


「ん……俺も。」


囁くように言葉にし合って瞳を合わせた宏光を見つめれば、宏光もそっとその瞳を甘くさせた。
こんな甘さを夢見てた。
手になんて入るわけがないと諦めたふりをして、そうしなければ自分を保つことさえ出来なかったほど、渇望していた。

甘い、甘い……



私だけの───────……宏光。



吸い込まれるみたいに唇を触れ合わせれば、それに応える宏光は僅かに首を傾げて唇を開く。
舌先が触れ合う事に戸惑いなんてなくて、触れ合うだけだった舌が絡み合って、お互いの呼吸は少しだけ乱れる。

触れ合う事は、こんなにも心地いい。

名残惜しむように離れた唇。
お互いから零れ落ちた吐息が唇に触れて、その満たされるような感覚にくらくらする。

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