ICE DOLL 2

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込み上げるものは、ただただ熱く。
凍り付いていた心が、言葉が────溶けていく。


「宏光……あのね、私も……ね……」


ドクンッドクンッと心臓が痛いほどに暴れる。
面倒な大人になって、素直になることから逃げていた私は、この一言を言うのにも一苦労だ。

本音はいつだって、痛みを伴う。
覆い隠して、自らを演出してしていた方が楽だから。

でも。
今は。
今だけは。









「好き─────……だよ……。」









自分の鼓動がうるさくて、己の言った声が聞こえない。
それほどに心臓は早鐘を打って。
密着している宏光には、この鼓動も丸聞こえだろう。

どうしようもないほどに震える身体と心。

ずっと言えなかった言葉。
言うつもりもなかった言葉。

それが音になって輪郭を伴う。


「…………。」


宏光は、何も言わない。
ただ、静かに……


「……ひろみつ……？」









.









!?









・
・
・
・
・
寝

て

や

が

る









.









.









っ、バカなのっ!?

ちょ、マジで？

はぁ!?

あり得ない。

ホント、とりあえず、色々返してっ!!!

私の決意とか、ドキ.ドキとか、泣きそうな気持ちとか、色々全部っ!!!


「ちょ、宏光？」


私の肩に凭れていた宏光の身体を起こして声をかけてみるも、かくんかくん、と首を揺らすだけで起きる気配はない。


「ねぇ、ちょっと。」


「ん……」


少しだけ寝言のような吐息を零すも、それ以上に反応を示すこともなくて。


はぁ〜〜〜〜……


漏れた溜め息は深く。
いや、これは仕方ないと思う。
私にしては、決死の覚悟のようなものだったのに。

声をかけても、身体を揺すっても、宏光が起きる気配は皆無で。
意識のない宏光を当然ベッドまで連れて行くことも出来やしない。
失礼を承知で他の部屋の扉を勝手に開けて、見つけたベッドルームから掛け布団と毛布を拝借してソファで意識を無くした宏光と一緒にくるまって瞳を閉じた。


起きたら、絶対文句を言ってやろうと心に決めて。

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