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絡め合った指先のこそばゆさ。
きゅっとすがりつくように力を込めれば、宏光は私のその手にふふ、と小さく笑ってから触れるだけのキスをした。
まるで堪能するように、掌で触れて、唇で愛して、甘く拓かれていく。
背中を走り抜けるような感覚。
その手が触れる感触は心地よくて、それにひどく興奮してしまう。
いつも、どうしても全てを暴かれたくなくて、必死にかけるブレーキはどうしてだか今日は全く利きそうにない。
利かせなくてもいいのだと、何処かで思って。
緩やかに私の輪郭をなぞるように触れる宏光の指先。
甘くて。
柔くて。
優しい。
不思議と焦れた気持ちは起こらなかった。
心の何処かに早く繋がりたいと思う気持ちはあるけれど、それよりももっと。
焦れったいほどの優しい愛をもっと堪能したいと心は貪欲になっていく。
それほどまでに私は。
「ぁ、はっ……ぁっんん、っ、ひ、ろみつ……っ」
宏光に飢えていた。
息を飲んで、詰まった声音は色を帯びて宏光の名前を呼ぶ。
明らかに艶を宿した私の声に瞳を細めて、宏光は答える代わりにそっと私の胸元に口付けを落とした。
昨夜、胸元に散らされた宏光の所有の烙印。
それに再度刻むように唇で辿りながら、片手を滑らせて私の片足を押し上げた。
「っあ、あっ、 ひっ……ぁ、んんっ、……、っ……」
漏れた声音。
私の胸は上下して言葉を吐き出す度に紅い跡を揺らす。
片手を持ち上げて肩へと回そうとした私の行動に気づいて、宏光は少しだけ名残惜しげに絡め合った指先をほどいた。
自由にされたその手を宏光の肩へと回して。
少しだけ汗が浮いた宏光に抱きつき、私は肌を密着させて吐息を漏らした。
ゆっくりと、宏光が私のナカへと挿ってくる。
深く繋がる場所の感覚。
それが心地よい。
緩やかに腰を動かしながら、宏光は両手で私の脚を押し上げる。
太股の後ろの所を撫でて膝裏を押して、少しだけ身体を倒して汗ばんだ肌同士が密着する感覚。
肌の温度と鼓動の音。
漏れる呼吸。
全てが、重なる。
臆病で最後の一歩がなかなか踏み出せなかった二人が、過去へと流れていく。
溶けるほどの愛を、今。
心から、誰よりも何よりも愛しい貴方へ。
宏光の首筋に流れた汗を見つけて私はそれに唇を寄せた。
肌の湿り気と塩気。
ひどく獣じみていると感じるけれど、本能が告げるのだから仕方がない。
唇でしゃぶりつくみたいに肌に舐めれば、少しばかりくすぐったそうに宏光が首を逸らした。
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とーか(プロフ) - にかみつばさん» 言葉にしてくださることが、また更に嬉しいです♪私は、みっくんにも少し狡くて不器用なところがあるだろうなって実は思ってまして…Masqueradeの宏があまりにも格好よすぎたので、違う彼を描いてみたかったのも本音です(笑)コメントありがとうございました♪ (2020年5月28日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん♪一つ一つに丁寧にコメントくださってありがとうございますー♪そういう率直な感想とても嬉しいです(*´∀`)♪もちろん、好みだと言ってくださるコメントも嬉しいのですが、自分の中の彼は自分が感じるものなので色んな彼がいて当たり前で、それを (2020年5月28日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 1人の人を一途に愛する、優しい優しい北山くんで、読んで良かったなと思いました。シリーズで続きを書いて下さりありがとうございました。またとーかさんの作品を読めることを楽しみにしています。長々と失礼いたしました。 (2020年5月28日 2時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 兄組話、Masqueradeの北山さんが好きでこちらも読ませて頂きました。正直私の想像する北山さんと違いすぎてイメージや感情移入しずらく途中で断念してしまってました。でもとーかさんの作品だしどうしても気になりラストまで読ませて貰いました。 (2020年5月28日 2時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - ふみさん» お姉……。ああ、もう他の人とは違う目線でニヤニヤしてるのが目に浮かぶわぁ……┐(´д`)┌やめれ。生暖かい目で見んなーっ!!!(笑) (2019年9月9日 20時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とーか | 作成日時:2019年8月24日 12時