Eclipse 7

before the melody 2-137 ページ9

.



二階堂さんの車の後部座席に

裕太と一緒にミツを運んで、

私はミツと離れるのが怖くて

二階堂さんの車に乗った。









裕太が自分の車で後ろから着いてきている。









『二階堂さん……』









「何？」









ルームミラー越しに二階堂さんと目が合って、

緩やかに微笑まれる。









それでも、さっきの恐怖は消えない。









今は呼吸も穏やかになった

私に凭れ込むミツを見ても尚。









『あの、……ミツは……

何か、病気ですか……？』









自身を抱き込むようにして

倒れたミツ。









苦しそうにその胸を押さえて。









「ああ……いや、うん、……どうだろ……」









歯切れの悪いその言葉に、

ひどく不安になる。









この状況を考えれば、

命に関わることでは

ないのかもしれないけれど。









『二階堂さん？』









「あー……んと……

Aちゃんの言う、病気ってのが

身体だけの話をしてるなら……

ミツは病気じゃないよ。」









!?









ならば。









言葉通りに受け取るなら、

それは、つまり。









.









.









.









『こころ……？』









.









.









.









「うん……。」









ああ、そういう……ことか……。









これまでの付き合いで、

ミツに感じていた違和感が

するすると解けていく。









ミツは、何処か歪(いびつ)だ。









前を見据えて、

目的に向かっていくあの姿勢は、

ひどく強さを連想させるのに。









時々、あの闇色の瞳で

全てを諦めたような顔をする。









その不安定さ。









それは、恐らくミツの闇と連動している。

before the melody 2-138→←before the melody 2-136

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す