before the melody 2-150 ページ22
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「俺のっ、せい、だっ……
だからっ……お、まえは、ダメだっ……」
ドンッ
え──……?
言葉と共に強く身体を押されて突き放された。
ミツの予想外の動きに
身体が着いていかなかった私は、
その場でリノリウムの床に強かに尻餅を付いた。
ヒューヒューと、嫌な呼吸音を繰り返しながら、
ミツは私に背を向けてベッドで丸くなった。
そうして、背中越しに投げ付けられた言葉は。
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「っ……じがやの……ところ、へっ……
帰れっ……っくっ……」
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向けられる背中。
その言葉。
私の手は……届かないっ……。
やっと開いたように見えたミツの扉が、
また閉まる───。
「ミツっ!?」
私が倒れた音が響いたのか、
ドアを開けて宮田さんと裕太が走り込んできた。
部屋の惨状を目にした宮田さんがミツの傍に、
裕太が私に駆け寄って。
「A?どうしたの?何があったの?」
裕太が心配そうに私を覗き込む中で
荒い呼吸が響く。
「み、やたっ……ここはっ……嫌だっ……」
「ミツ?」
「出して、くれっ……」
苦しそうなミツが
宮田さんの腕を強く握り締めて。
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「っ……消、毒液の匂いがっ……すんだよっ……」
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嗅覚は、記憶と直結してる。
何かを振り払うように首を振るミツは、
苦しくて堪らないと言っているようで。
「ミツ、わかったから、落ち着いて。
ゆっくり息を吸って。ね?」
こんな時でも、柔らかな笑顔を崩さず、
宮田さんは落ち着いたトーンで
優しい言葉を繰り返した。
ミツは、再び意識を手放した。
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紗羅(プロフ) - お久しぶりです。 以前メッセージを送らせて頂いたものです。とーかさんの作品が読みたくなり読ませて頂きました。初めて前作を読んだ時から言葉運びやお話の展開がすごく好きで心打たれたのを覚えています。忙しいかと思いますが更新待ってます頑張ってください (2018年9月11日 5時) (レス) id: b997b450ae (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - はじめまして。前作から一気に読ませて頂きました、、!とーかさんの文章はすごく綺麗で読んでいてすごく面白いです。続きがとても楽しみです!更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 4a7e4f83bf (このIDを非表示/違反報告)
まい - とーかさんのファンになりました!とーかさんの書く小説文章がキレイで、読んでいて幸せな気持ちになったりキュンとしたり。。。続きがとても楽しみです♪更新楽しみにしています☆ (2018年5月31日 18時) (レス) id: 150ba412d9 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 一章から一気に読みました…!前作も1日で読みきりました。とーかさんの文章は胸が抉られ苦しく締められますが、なによりもとても綺麗です。涙が止まらないほど悲しかなりますが、その中にある温かさを感じ、じーーーんとします。更新頑張ってください!!! (2018年5月26日 23時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
りなみつ(プロフ) - 一章から一気に読んでしまうほどおもしろかったです!太輔と別れるシーンではぼろぼろと涙が止まりませんでした。トーカさんのお話これからも楽しみに待ってます! (2018年4月17日 10時) (レス) id: c8036a53c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とーか | 作成日時:2017年10月17日 17時