Eclipse 7

before the melody 2-131 ページ3

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「良かったっ……っ……

ホント、良かったよっ……

ひ"ろ"、み"つ"ぅ〜……ぅっ……」









生放送が終わって

戻ってきた私達を待っていたのは、

ぼろぼろと涙を溢す千賀さんだった。









「わーったから、泣くなっ!!」









苦笑いでミツは、

千賀さんを慰めるように

ポンポンと頭を撫でていた。









何だかんだ言いながら、

あれは照れているだけなのが

見ていてもわかる。









「これで宏光も大丈夫だし、

ニカもまた個展やってるし、

宮田は安定してるし、

良かったよ……ホントに。」









心底安心したように、千賀さんは言った。









宮田……？





あの、名刺の人だ。









ー俺の緊急連絡先。

俺に何かあったら、そこに電話してー









バンドの加入が決まったあの時に

渡された名刺。









あれから、ミツに

緊急で何かが起こるようなことはない。









だから、あの名刺は今でも

財布の中に入ったままだ。









真っ白だった名刺は、

月日の分だけ擦れて少し汚れている。









「宏光、ニカの個展見に行ってあげなよ。」









「あー、俺はいいわ。」









「何で？」









「パレスチナとかアフガニスタンとか、

アイツの写真暗れぇんだもん。」









「ニカ、宏光に見てほしいと思ってるよ。

1度も見に行ってないんでしょ？」









「まぁ、時間があったらな。」









ミツが曖昧に流すのを、

少しだけ複雑そうに千賀さんは見ていた。

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