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before the melody 2-140 ページ12

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「キタミツは、俺のところに遊びに来て、

近況を話して帰っていく。

俺は、勤務時間内にサボって

キタミツとお喋りをするんだ。」









「宮田……。」









「キタミツを病人扱いしない。

それが、キタミツがちゃんと

俺のところに来てくれる理由だから。

だから俺は、キタミツを待つのに

車椅子もストレッチャーも用意しない。」









穏やかに笑いながら話す宮田さんとは

対称的に、

ひどく痛そうに表情を歪める二階堂さん。









心配そうにミツを見つめて、

その拳を握り締めた。









その拳は、力が入りすぎて

白く色をなくしていた。









確かに、心療内科に通うというのは、

世間一般的にハードルが高い。









それは、自分が心の病気だと

認めることと同意だから。









だから宮田さんは、

友達が遊びに来るという扱いにした……

ってこと?









もしかしたら、ミツにとっても

ギリギリの選択だったのかもしれない。









「A、ミツは?」









裕太が自分の車を停めて、

駆け寄ってきた。









「大丈夫ですよ。」









ミツを背負ったまま、

宮田さんが柔らかに微笑む。









それは、人を安心させる

不思議な笑顔だった。









裕太にもそれは伝わったのか、

ホッと胸を撫で下ろして。









「ミツをお願いします。」









人見知りのはずの裕太が、

珍しく初対面の宮田さんと向き合って

頭を下げた。









宮田さんは、愛想を崩して、

ひどく嬉しそうに微笑む。









この人の空気は不思議……。

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紗羅(プロフ) - お久しぶりです。 以前メッセージを送らせて頂いたものです。とーかさんの作品が読みたくなり読ませて頂きました。初めて前作を読んだ時から言葉運びやお話の展開がすごく好きで心打たれたのを覚えています。忙しいかと思いますが更新待ってます頑張ってください (2018年9月11日 5時) (レス) id: b997b450ae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして。前作から一気に読ませて頂きました、、!とーかさんの文章はすごく綺麗で読んでいてすごく面白いです。続きがとても楽しみです!更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 4a7e4f83bf (このIDを非表示/違反報告)
まい - とーかさんのファンになりました!とーかさんの書く小説文章がキレイで、読んでいて幸せな気持ちになったりキュンとしたり。。。続きがとても楽しみです♪更新楽しみにしています☆ (2018年5月31日 18時) (レス) id: 150ba412d9 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 一章から一気に読みました…!前作も1日で読みきりました。とーかさんの文章は胸が抉られ苦しく締められますが、なによりもとても綺麗です。涙が止まらないほど悲しかなりますが、その中にある温かさを感じ、じーーーんとします。更新頑張ってください!!! (2018年5月26日 23時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
りなみつ(プロフ) - 一章から一気に読んでしまうほどおもしろかったです!太輔と別れるシーンではぼろぼろと涙が止まりませんでした。トーカさんのお話これからも楽しみに待ってます! (2018年4月17日 10時) (レス) id: c8036a53c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とーか | 作成日時:2017年10月17日 17時

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