Eclipse 3

before the melody 5-17 ページ9

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「これは……ちょっと、すげぇ……。」









最後の1音を叩き終わった渉さんが

ポツリと溢した言葉は

全員が思ったものだった。









太輔の曲が

彼のアレンジで倍…いや、それ以上に

格好よくなっている。









しかも

その世界観を微塵も壊すことなく。









これは、よくあることじゃない。









太輔の曲は、ある意味独特で。









その世界を維持するには

太輔のアレンジが一番なはずだった。









でも、これは……

太輔にとっては、新しい扉なんじゃ……？









こんな方法があるなんて……。









『太輔……？』









「あー…昨日も思ったけど……

やっぱ悔しいな……。」









苦く笑う太輔の顔は

明らかにこのアレンジを気に入ってる。









「ちょっと、もっかいやるぞ。」









透さんが何か機械を操作しながら

みんなに声をかけて。









「これ、指つりそう……。」









裕太は文句を溢しながら

イントロを弾き始める。









流れるリズムに

彩りを添える太輔のギターが乗って。









渉さんのドラムと

透さんベースが走り始める。









この、疾走感。









このアレンジ、楽しい。









前のアレンジも好きだったけど

これはヤバい。









ライブで歌ったら

きっとファンも楽しいはず。









スタジオなのに

思わず飛んだり跳ねたりしながら

歌いたくなるこの曲に

あっという間に魅了されていくのを









感じていた。

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