Eclipse 3

before the melody 5-15 ページ7

.




「んで、渡されたのがこれか……。」









太輔の胸に背中を預けて

ソファに座る私の前には

昨日の彼にアレンジされた譜面。









テーブルの上には

半分ほど減ったシャンパンボトルと

チーズとプレゼントのネックレス。









耳元で響く太輔の声は

お酒のせいかいつもより少しだけ

語尾が溶けている。









『ね？これ、格好いいよね？』









施されたアレンジは

太輔の曲をより格好よくしている。









「でも、まだ外に出してない曲を

メンバー以外に見せたのは

良くないからな。」









『ん…それは、ごめん。』









「でも、確かに格好いいな、これ。」









『でしょでしょ？

もーこれ、見た瞬間に鳥肌たってさぁ。』









「…………。」









『太輔？』









「…………。」









黙ってしまった太輔に不思議に思って

振り向こうとした私を

太輔が強く抱き締めた。









!?









『太輔？』









「……面白くねぇ。」









『え？どうしたの？』









「…………。」









『っ……太輔？苦しいよ……？』









ちゅ…









『ちょ、太輔!?』









太輔はそのまま何も言わず

うなじにキスが落とされ始めた。









『っ…たぃっ……んっ……』









後ろから回ったその手が

イタズラに動き出した。









柔らかに熱が灯る。









「確かにこれは格好いいけどさ……

Aに、んな顔させるなんて……」









横を向かされ肩越しに口付けるその時

太輔の口から漏れた嫉妬混じりの言葉に

心臓がドクンッと音を立てた。

before the melody 5-16→←before the melody 5-14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す