Eclipse 3

before the melody 3-19 ページ43

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それから、集まった私達には

ひどく微妙な空気が流れていた。









誰も無駄口を叩かない。









透さんだけはいつも通りで。









それがまた切なくなる。









それでも、ライブの日は待ってはくれなくて。









刻一刻と近付くX'masライブは

恐らく透さんの最後のステージになる。









一日一日が、死刑台への階段を

上がっている気分にだった。









私が……おかしいのかな……？









どうしても、心が着いていかない。









そうして奏でた私達の音は……


全てがちくはぐだった。









合わない。









何が？









わからない。









音は、違っていない。









音程は少なくとも合ってるのに。









噛み合わない。









心が。









ダメだ。









こんなのは。









気持ちよくない。









裕太の音が走りすぎる。




太輔の音が抜けない。




渉さんの音が地に足がつかない。




透さんだけはいつもと変わらず。









でもベースだけじゃバンドの音は安定しない。









私の声は……震えて響かない。









こんなんじゃ、誰の心にも届かない。









それは









暗く









苦く









居心地の悪い音。









「今日はやめよう。」









太輔が静かに言った。









こんなにもバラバラな音は初めて聞いた。









失いかけてる羅針盤。









その重さを、痛烈に感じた。









「そうだな……。」









切ない声で、透さんが同意した。









こんなんで……ライブなんか出来るの……？

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