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before the melody 3-16 ページ40

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【家で二人で待ってる。】









もう、練習にはならないと判断して

二人で太輔のマンションに帰ってきた。









透さんの携帯にメッセージを残して。









透さんが、私達を置いていく。









それはもう、恐らく

透さんの中では決定事項だ。









私達の顔を見て辛そうに苦しそうに

表情を歪めても

その瞳に宿る意思は揺るがない。









もう、透さんは……









ソファを背凭れにして座っていた私の前に

太輔がマグをふたつローテーブルに置いた。









温かそうな湯気をぼんやりと見つめて。









「こっち。」









「え?」









太輔は、ゆっくりと

私が背凭れにしているソファに座り

後ろから私をソファの上に引き上げた。









太輔の股の間に座る形になり

後ろから太輔のぬくもりに包まれて。









伝わる体温に視界が滲んで歪む。









「っ……ひっくっ……」









溢れ出す涙が止まらない。









太輔の腕が強くなる。









ぎゅっと強く強く。









泣いても、喚いても

もう透さんの決意は変わらない。









心許ない想いが不安を連れてきて

私の心をぐらぐらと揺らす。









「っ……」









太輔の呼吸も荒くなって。









太輔が強く抱き締める腕を

ぽんぽんと叩くと、その腕が緩められた。









そしてゆっくりと振り返ると

太輔の頬もまた同じように濡れて。









視線が絡まる。









どちらともなく寄せた唇。









言葉はいらなかった。









私達は、泣きながら互いを求め合った。









喪失の痛みを抱えて。









テーブルのマグは、湯気を失っていた。

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とーか(プロフ) - lapisさん» 後で片付けるのが面倒なので、やっぱりやめておきましょう(笑)さてさて、lapisさん知ってるじゃないですか(笑)私、彼の憂い顔が大好きなんですよね(笑)逆境なんて、大したことないはずです、彼は(笑) (2017年4月17日 13時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)
lapis(プロフ) - とーかさん» 人様に迷惑かけない自室なら…まぁ…ありじゃないですか(笑)?…レッドが入る為には仕方ないのはわかるんですけどね…でも、これ…後から加入するレッド…かなりしんどいですよねぇ…とーかさん、愛ゆえにレッドに逆境を与えているのですか(苦)? (2017年4月13日 19時) (レス) id: d69b317122 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - canちゃんさん» こらこら(笑)ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!ってお化けじゃないんだから(笑)ついにお待ちかねのレッド登場ですよ(笑) (2017年4月13日 19時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - lapisさん» いやー……大人として、物に当たるのはダメですよ(笑)ですねー…脱退とか加入とか、もう苦しくなっちゃうんですけどね。。。でも、これもレッドのため(笑)心、鬼にして頑張りますp(^-^)q (2017年4月13日 19時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - しらすさん» しらすさん、いつもありがとうございまーす(*≧∀≦*)ついに来ましたレッドのターン(笑)もう、本当にお待たせしましたーm(__)mついに物語が動き始めます(*`・ω・)ゞ (2017年4月13日 19時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とーか | 作成日時:2017年2月13日 19時

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