Eclipse 3

before the melody 3-9 ページ33

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「寒くない？」









太輔が連れてきてくれたのは

広い公園だった。









都会の喧騒を忘れるような静寂。









奥がどうなってるのか

よくわからないほどに続く芝生の上。









吐息が白く色を持って。









瞬く満天の星が、ひどく綺麗で……









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吸い込まれそう……。









『大丈夫。すごい綺麗だね。』









「ね。

この前、ネットで見つけてさ……

来てみたかったし

Aにも見せたかったんだ。」









美しいと感じたものを

共有したくなるのは

いつも心の中に私がいる証拠のように思えて

また嬉しくなる。









私もそうだ。









美味しいものを食べたら

太輔にも食べさせてみたくなる。









素敵な音を聞いたら

太輔に聞かせたくなる。









それは、いつも心に太輔がいるから。









隣で星を見上げる太輔に抱き着いた。









「A？どうかした？」









満天の星空と太輔。









その温度。









星たちの薄い明かりが

夜の闇に太輔を浮かび上がらせる。









それは……

少しだけ、ステージの上に似ていた。









太輔が遠くなる気がして

ぎゅっとしがみついた。









『太輔……。』









「ん？」









返る声は、優しくて甘くて。









太輔は、本当に丸くなった。









随分前の

あの裕太の失恋を慰めた時のような

激情に駆られるようなことは無くなった。









柔らかく、グズグズに私を甘やかす。









それは……何だか太輔が

何かを我慢しているようにも感じる。









私達は、確かに長い時間一緒にいるのに

どんどん太輔が見えなくなるような……









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そんな気がした。

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