Masquerade

case 10 ページ11

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『お待たせ、紗枝。』








プールの後に、

親友の紗枝とランチの約束をしていた。









店に着くとすでに紗枝はいて、

ゆっくりと煙草を燻らせている。








「遅いよ。またプール？」









振り返った紗枝は、

言葉とは違い優しい顔で笑っていた。








「よく続くねぇ……

身体動かすの好きだよね。」









『当然。努力を怠ったら、

女は終わりでしょ。』









女……というか、

販売員として……だけど。









どうせなら買い物は、

憧れたくなるような綺麗な人からしたい。








それは、男でも女でも同じ。









なら……私は、綺麗でいなくちゃ。








それで少しでも数字が上がるなら。









「まぁ、元気そうで安心したよ。」








『紗枝のおかげだよ。』









「私？何もしてないよ？」









『傍にいてくれただけで十分。』









紗枝は、高校の同級生だった。








だから知っている。








ずっと傍にいたから。







私の9年を。








あの人に恋をして、

あの人と愛し合った9年。








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呆気ないほど簡単に捨てられた……

私の9年を。








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何もかも話してきた。









バカみたいに繰り返した喧嘩も、

幸せに浸った惚気も。








いつも話を聞いてもらっていた。








もちろん、紗枝の話も聞いている。

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