【ダン戦W】黒い世界の濁り 03 (ページ7)

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「大人しく来てもらおう」
冷たく、厳しく。静かだが有無を言わせぬ迫力で八神さんが言い放った。ジャッカルも無理だと悟り、そのまま大人しく二人に連行されていった。

「まさか本当にあいつが暗殺者だったとはな。バンに言って、なんとか間に合って良かったぜ」
「ありがとう郷田。俺たちもちょうど怪しい奴を絞り込んだところだったんだ。兄さんが一人で追いかけていったって聞いた時は驚いたけど」
「ハーミットがこういうこととはね。随分と大きな隠し事だ」
「みんな助かったよ、ありがとう」
漸く肩の力が抜ける。俺の横でアスカもビビったぜと言いながら床にへたり込んだ。平気そうに見えたが、彼もかなり緊張していたみたいだ。
「アスカ、足止めしてくれてありがとうな」
「へへっ、当然だぜ」

それにしてもアスカが何故暗殺のことを知っているのだろう。
「バンたちが話してるの偶然聞いちゃってさ」
聞いた時は半信半疑どころか、何かの遊びではないかと8割くらい疑っていたようだ。その後Cブロックの決勝を観戦している時に、ジャッカルの指とマッドドッグの動きが噛み合わないことに気づいた。不審に思いヴァンパイアキャットのカメラ機能でCCMの画面を覗いたところ、映っていたのはクラウディア大統領の姿。
俺たちの推測よりも確かな証拠をアスカは掴んでいたとはな。
「足止めどころじゃないな、最高の手助けだ」
そう伝えればアスカは少し恥ずかしそうにしつつも、誇らしげに笑った。

「これであたしたちの本当のアルテミスが始まるんだね！」
嬉しそうな声で高らかに声を上げたのはラン。もう俺たちは暗殺阻止のミッションに縛られることはなくなった。ここからのアルテミスは純粋なLBXの世界大会となる。本来のLBXの姿で、楽しい真剣勝負が出来る。彼らの実力が正しい形で、最も輝く場所で披露される。
「決勝で待ってるぜ！」
郷田がバンたちに言えば、六人は力強く頷いた。隣の仙道は何も言わないが、自信を滲ませ口角を上げている。
戦況を確認すると既にDブロックの決勝だ。相変わらずの実力でユジンさん、おっとオタレッドたちが戦っている。
Eブロック組は急いでLBXの調整をしなければ間に合わない。ぼんやりこのバトルを見てる場合ではない。

「行ってこい！」
みんなの背中を押した。