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天文台へと戻る車内。空気は重たかった。
今回スレイブ・プレイヤーとされていたのは森上ケイタ。アジアエリアチャンピオンであり、昨年のアルテミスでバンたちと予選決勝で戦った相手で、バンの大切な友人だ。また、バンのよく知る人が利用されたことになる。
更にキラードロイドという謎の存在。風摩キリトがその名と存在を知っていたが、彼の所属を考えるとオメガダインと繋がりがあるかもしれない。それともやはりディテクターが仕向けたものなのだろうか。
「けれど、エルシオンとミネルバの特殊モードを確認できた。そこにペルセウス、スザクが加われば大きな力になるはずだ」
ジンが決して収穫がなかった訳ではないという声色で言う。それに対してランやヒロ、ジェシカ、ユウヤも同調するように強く頷いた。
「でも、勝てるかな」
しかしバンは一人だけ、不安げに呟いた。普段はリーダーとして皆を率いるバンの弱気な発言。ヒロやランだけではなく、ジンも少し驚いていた。
「恐ろしい奴だった」
バンが傷ついてしまったエルシオンをそっと握りしめる。その手がやけに幼く、小さなものに見えて反射的に自身の手を重ねていた。
「兄さん……?」
「大丈夫、……大丈夫。LBXを修理して、次はみんなで戦おう。三人だけじゃなくて、ここにいるみんなで」
お前だけに辛い思いも、重い責任も抱えこませないから。
「キラードロイド、か。こんな物が開発されていたとは」
「父さんも知らないの?」
ビルニッジ天文台へと戻りキラードロイドの存在を報告する。しかし父さんも把握しておらず、誰が、どこの組織が差し向けたものかも分からず。状況としてはディテクターが司令コンピュータの護衛をより強固にするため、という理由が一番に考えられる。
「博士、あれってLBXなの?」
ランが腰の後ろで手を組んで問う。
「いや、LBXではないだろう」
スピード、パワー、機体強度、あらゆる面においてLBXの性能を遥かに凌駕している。まともにぶつかっても勝ち目は薄い相手だ。
「だからこそ、すぐにエルシオンたちの改造に取り掛かろう。スーパーLBXなら恐らく対抗できる。それにジンくんたちのLBXの修理とデータ収集もしなければ」
父さん、コブラ、マングースは俺たちのLBXを受け取り作業へ取り掛かる。俺たちは完成するまで休憩だ。
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作者名:とうか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toukahttp/
作成日時:2018年5月5日 16時