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会議室の席に着き、すぐに会議が始まる。
今の状況というのはNICSは完全にディテクターに対して後手に回っている。これからの戦いで少しでも被害を抑える為に、把握している情報を整理することとなった。
用意されたのは物凄く分厚い資料ファイル。いや、ありすぎだろう。
瞬間記憶が出来るジェシカは引く素振りも見せず一気にファイルに目を通していく。拓也さんもモニタを使って今まで発生した事件を順に説明している。俺たちの凡人の脳みそにとって、ファイルはあくまでも細かいデータの確認と分析に使う程度だ。
まずトキオシアでのLBXの反乱が始まりだった。次にA国。
シャンパオでは犯行声明が起こる前に俺たちが食い止めたが、その為に逆にシャンパオを選んだ理由の手がかりはない。推測ではレアメタルを狙ったのではないか、ということだ。それと類似しているのがエジプトのカイルでの事件。ここでは原油の輸出停止を求めてきた。
経済的混乱を引き起こそうとしているのだろうか。最後に大統領の暗殺計画。もしこれが成功していれば、A国の市場にも途轍もない影響が及んでいただろう。
また、オメガダインへも疑惑が残っている。政府の査察は受けており、アルテミスの成功でMチップの安全性はある意味証明できてしまった。しかしクロである疑惑が100%晴れた訳でもない。
経済的側面からは拓也さんが調査を行う。オタクロスはインフィニティーネットでの監視強化。NICSはオメガダインの動きを監視することに。
「さて話は変わるのだが、みんなにはイギリスのブリントンへと行ってもらいたい」
カイオス長官がそう切り出した。
「もしかして、イギリスでディテクターが何か?」
真剣な声でバンが答える。しかし長官は微笑んで首を横に振った。
「山野博士が君たちに会いたいそうなんだ」
「父さんが?」
バンと俺の声が重なる。今まで父さん側から連絡なんて少なかったのに、何故今急に?
ディテクターに関する重要な情報を掴んだのか。それとも通信では盗聴される可能性を恐れて、何か直接伝えたいことがあるのか。俺たちに「来い」と言っているのは初めてだ。
カイオス長官曰く父さんの研究所がイギリスにあるらしく、そこで俺たちのLBXを強化したいとのことだ。
もしかして、スザクも。
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作者名:とうか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toukahttp/
作成日時:2018年5月5日 16時