【ダン戦W】黒い世界の濁り 03 (ページ14)

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ファイナリスト控え室。
一人で出場のアスカ以外は、代表者一人を選出し登録を届け出る必要がある。他チームは他チームの問題だが、目の前で無言の圧をかけまくっている郷田と仙道が問題すぎる。
どう声をかけようか。悩んでいるとおもむろに仙道が立ち上がる。
「どこに行くんだよ」
「受付。実力の高い奴が決勝に出る、当然だろう」
「やっぱりお前とはここで決着をつける必要がありそうだな」
そして始まる謎の言い合い。しかもどちらが出るかではなくて、何で勝負をつけるかである。

「ん」
二人の目の前に差し出される一本のトマトジュース。
「俺が決めてやるよ」
アスカがにっと笑って提案した方法とは。

「次！次くれ！」
「うっ……」
トマトジュース、二十本早飲み対決。
「Aは良かったのかよ。それともトマトジュース嫌い？」
「いいや。元々アルテミス出場権自体があの二人が手に入れたものだからな。二人が優先されるのが当然だし、チームとしてファイナリストの栄誉を与えられただけでも充分すぎる」
あと普通に二十本も飲みきれない。

LBXも何もあったものじゃない対決が数分続く。いくら二人だけでは埒があかないとは言え、アスカの提案も正直なかなか鬼だ。小さめの缶だから一本250ml、それを二十本。飲みきると計5000ml、つまりこれ五リットル。
(死なないか？)
「っしゃー！俺の勝ちだ！」
勝者、郷田。仰向けに伸びている仙道の記録は十五本。それでもかなりやった方だ。
「頑張れよ、郷田」
「あったりまえだ。優勝は俺の……、悪い、トイレ行ってくる」
ああ、やっぱり出るか、上から。あれを腹に入れたまま決勝戦とか辛いだろうし、トマトジュースに申し訳ないが出した方が良い。
仰向けの仙道の顔を覗き込む。
「お前もトイレ行くか？」
「んなこと誰がやるかよ。あいつの登録済んだら席に行く」
登録は見届けてやるのか。

決勝開始時刻。薄暗い会場は期待からざわめきが抑えきれない。それは早く早くと急かすようにも聞こえてくる。予選以上のバトルが見られるのだ、意識せずとも気持ちが高まってしまう。
ざわめく会場の中、不意に一ヶ所へスポットライトが当たる。そこには勿論アルテミス司会の姿。

「Ladies and gentlmen！各予選ブロックを勝ち抜いた勇者たちがとうとう出揃いました！これよりファイナルステージ、バトルロワイヤルを開始いたします！」
割れんばかりの大歓声。アルテミス、最後で最高のバトルの始まりだ。