【ダン戦W】黒い世界の濁り

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スピーカーからはバンとヒロが協力しあう声と、戦闘の音しか聞こえてこない。映像は送れない為、あちらからの報告と此方からの問いに対する答えで状況を把握するしかない。
どうしても情報不足になってしまうのは仕方のないことだが、それはこの戦いでは心配はいらなかった。

数分で簡単に決着がついてしまった。
ヒロもこの短時間で腕を上げているようで非常に頼もしい。何たる集中力。

更に下の階へ向かい、階段が途切れたのは地下十階。扉らしき物は見当たらないようだ。さて、入り方が分からないからそれを質問するのは当然だ。
『どこから入れば？』
このバンの問いに対するコブラの答え。
「そんなもん壁ごとぶっ壊せ」

盛大な溜息が漏れたが隠す気もない。その直後の拓也さんの「無茶言うな」は至極真っ当であり、「冗談だって」というそれへの返しも小学生の悪ガキみたいなもので。
上手く物事を進めたかったのなら、彼は第一印象の時点でアウトである。見た目が怪しすぎるのだから。


と、まあそこらは置いておき二人は旧シーカー本部に潜入することに成功。
どうやら中央部分に明らかに何者かによって後付けされた機械が設置されているらしい。拓也さんも、その場所には何も無いと言っている為それだ。

そして周囲にいたLBXが襲いかかる音を確認。さっさと倒し機械を停止させねばならない。
聞こえる音からさっきよりは機体数が多い。しかし伝えられた機体の名はグラディエーター、アヌビス、デクーと決して機体性能が高いものではない。更に自動コントロールだろうから、慌てなければ容易に突破が可能なはず。

戦闘音が入り混じる中、その騒がしさを貫き抜けてくるバンの声とCCMの音声が耳に届く。
『必殺ファンクション！』
『アタックファンクション、ホーリーランス』
聖なる槍。生憎その姿を見ることは出来ないが、エルシオンに最適な必殺ファンクション名ではないか。


スザクβ、きっと此奴にも新しい必殺ファンクションがあるのだろう。

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