島巡り者の人脈 (ページ48)

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島巡り48 ページ48

｢……いってこい、ヌル！｣

そう言ってグラジオ君が繰り出したのは先程言っていたヌル。
いやなにあのポケモン！
見たことがない！タイプは？はがねタイプ？それとも、むしタイプとか？もう分かんない！
私は『イワンコ！』と少し叫んでからワンテンポ遅れてかみつく、の指示を出した。

(硬い……イワンコじゃ無理だ！きっとレベルもヌルの方が上だし……ここは交替してオシャマリを)

『イワンコ、戻って！』

｢ヌル！追い討ち！｣

『イワンコ……ごめんね、お疲れ様……いっておいで！オシャマリ』

イワンコをボールに戻そうとしたがそれを制するようにヌルの追い討ちがイワンコを仕留める。
イワンコは倒れ、私はそれを謝ってからオシャマリを繰り出した。
先手必勝でいこう。

『オシャマリ、アクアジェット！』

やっぱり硬い。
けど負けないから。
負けたくないから。
こう見えても、私は結構負けず嫌いだから。
やってやられての攻防戦。
それももう終わりにする。
私は叫ぶ。

『オシャマリ、ラストアタックです！アクアジェット！』

｢ヌル！たいあたり！！｣

グラジオ君と声が重なり、二匹は同時に相手へと向かった。
激しい轟音が聞こえて辺りには砂煙が舞っている。
私は片目を開けてどちらが勝ったのか急いで確認する。
倒れているのはヌルだ。

｢フッ……憎いヤツだ｣

『オシャマリ！』

私は笑顔でオシャマリの名前を呼んで、急いで近寄ってきたこのこを抱き上げ、頭を撫でる。
『イワンコも、オシャマリもカッコよかったよ』と声をかけてあげるとオシャマリも笑顔になった。

｢フッ……なにしてやがるオレ。強いヤツと続けて戦う心構えが足りていないのか｣

『……強い、ヤツ…？』

｢あぁ……ソイツのポケモンは弱くない。ポケモン勝負を楽しむヤツがいてもいいさ…だがソイツは！島キングに……しかも本気のハラに勝てないから、そうやっていいわけしてるのさ｣

両手を肩くらいまで上げて呆れているようなポーズをとってグラジオ君はハウ君を見つめる。
当のハウ君は笑顔でいつものポーズをしている。
これはどうすればいいのだろう、と腕の中にいるオシャマリをギュッと抱きしめてふたりを眺めているとポケモンの鳴き声の中に人の声が聞こえてきた。