21.対峙 ページ21
「そこを退け、A……!」
「無理だよ。芥川龍之介…」
恐れていたこの日が、遂に来てしまった。資料数枚にしか満たない小さな組織の最後の砦、唯一の戦闘員のAと僕との対峙。
僕はこの様な事は望んで無いのに…
「ごめん、ごめんね。退けないよ私」
「…何故だ」
「不本意だけど…私の使命だから」
「それが足留めなら意味は無い。他の奴らは既に爆死している。無駄だ」
「死んでるのは解ってるよ。最終的にこの組織内で生き残る者は…」
天に祈る様にされた両手のひらは固く結ばれた。長い睫毛が伏せられ、目元から紅が見えなくなった瞬間、
……ばさり
Aの腰から赫い腕が生えた。血を吸った様な手は無規則に指をうねらせている。それはまるで、持ち主に自由を許されて喜んでいるようにも見えた。
「すまないね芥川龍之介。私は変わった。異能力を持っていたからこうなった。無知で純粋な私はもういない。私は敵だよ。本当は頼みたくないんだけど……お願い。
___全力で戦って」
梶井のレモンエロウの爆弾の一個が宙に舞った。刹那、赫い腕が一直線に伸びてきた。
Aの目元はきつく閉められていた。
肺の調子は佳い筈なのに、体は万全な筈なのに
_____胸が、痛かった。
_____鎖骨が、熱を帯びた。
鼻を掠めた火薬の匂いを感知したと同時に、彼女の唇は慥かにこう紡いだのを見た。
…「最終的にこの組織内で生き残る者は
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉槻 | 作成日時:2018年12月29日 15時