りんごジュース (ページ11)

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りんご型爆弾大事件【2話】ページ11

そういえば、私の自己紹介はしていませんでしたね。私は泉誠といいます。公平の助手で、実は幼馴染なんです。助手といっても仕事は公平の仕事の管理ばかりで、推理をしたことは一度もない。公平は訳あって私の家に居候している。まあ、この話は後々するとして、家事が全くできない公平に代わって、家のことは全部私がしている。少しは彼にやらせたい気持ちもあるのだが、彼に台所を貸した日には、私の健康状態が保障できなくなるので、とても危険だ。代わりに掃除をさせれば、何故かゴミが増えた。洗濯機を壊されたこともある。そんなわけで彼に家事はさせられない。
とりあえず、汚れたカーペットを洗面所に置き、公平が向かったであろう探偵事務所の入り口へ向かった。そこにいたのは１０代後半か２０代前半の女性だった。

「と言われても・・」
「そこをなんとか、あなたしかお願いできる人はいないんです」
「でも・・あっ泉ちゃん！」

公平と話していた女性は角谷京子さん。彼女は大学の文化祭を目前にしているそうだが、
「ほぅ、公平にスピーチを」
「はいっ、地元の有名人に毎年お願いしてるんです。佐藤探偵といったら、十境で知らない人はいません」
「公平、受けてあげたらどうですか」

「でも・・・・・出し物の値段、高いじゃん！！」

「はあ！？」
「だ・か・ら！こういう祭りのたこ焼きやジュースってめっちゃ高いじゃん！
　俺、見たら食べたくなるもん」
いい年して『食べたくなるもん』と言っちゃうこの男。大丈夫だろうか？

「それなら手配して無料券をお渡しします。それでもダメですか？」
「う～ん。そうだな。かわいい子のお願いだし。わかった、引き受けましょう」
「ありがとうございます！！」

・・・本当にこれでいいのだろうか。

角谷さんが指定したのは２週間後。公平はスピーチを引き受けたが、
「泉ちゃん、お願い！俺こういう文章考えるの苦手なんだって」
「あなたが引き受けたんでしょうが。自分でなんとかしなさい」
これ以上仕事を増やされたら、たまったもんじゃない。

「う～ん・・じゃあ３日間ジュース我慢するから・・」
・・驚いた。りんごジュース大好きなこの男が、ジュースを我慢してまでお願いしてくるとは。よっぽど考えるのが苦手なんだろうか。もう一人の人格に任せばいいと思うんだが・・。

「・・わかりましたから、ポテトチップスをちらかさないでください」
この男はソファの上でお菓子を食べながらお願いしていた。