水溜りでボンドな日常3 (ページ16)

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風邪ページ16

Aside

『ふぇっ、くしゅん！…ずず、』

静かな会社に響く盛大なくしゃみ。

隅っこのデスクで1人ぽつんと、パソコンをいじっている私はなかなかの不審者に見えるだろう。
何を隠そう私は絶賛風邪ひき中なのだ。

『ゔぅ…さみぃ。』

うつしちゃダメだ、と早朝から誰にも会わずに水溜りハウスを出てきちゃったけど
よりによって事務所で仕事があったなんて、

みんな忙しいuuum社員、誰かにうつしたりなんかしたら申し訳なさすぎる。

『早く終わらそ…。』
そんで誰もいないところに退散しなきゃ

ぼーっとする頭を必死で働かせてひたすらキーボードをたたいていると、突然

?? 「だーれだっ。」

『へ？』
手で目隠しされたのか、急に視界が真っ暗になる。

『ど、どなたですか？？』

急なことで全然分からず、固まってしまっていると
塞がれた時と同様に急に視界が明るくなった。

そ「正解はー…そらちぃでした～笑」

そう言って覗き込んでくるのはよく知るイタズラな笑顔。
『そらちぃさん！びっくりした、笑』

そ「ははっ笑 1人で寂しそうだったから遊びに来てあげた。久々だね。」

『お久しぶりです。お元気そうですね笑』

アバンティーズさんとは以前、トミーの紹介で何度かご飯に一緒に行ったことがあった。

緊張してた私に、3人はフレンドリーに接してくれてとても楽しかったのを覚えている。

優しいんだよなぁ

そ「Aと会えないから元気じゃなかった。
トミーさんに頼んでも忙しいって会わせてくんないんだもん。」

『ふふっ、そんなこと頼んでたんですか笑』
相変わらず変な人だ。

そ「てか、なんか鼻声？マスク付けてるし体調悪いならトミーさんに連絡する？」

あ、や、やばい
久々に会えて舞い上がって忘れてたけど、私今風邪ひいてるんだ。

『あ、違くてえっと、』

この場に居て彼にうつす訳にはいかないし
かと言ってトミー達に連絡されるのもダメだから、風邪だとも言えない。

とにかく誤魔化さないと…

『あ、あれです。花粉症で、』
そう言いながら座っているデスクチェアを転がし、少しずつ距離をとる。

そ「ふぅーん、花粉症ねぇ。」
そう言う彼はあのイタズラな笑みを浮かべていて

あれ、なんかスイッチ押しちゃった、？

そう思った時には既に遅し。
背もたれを掴んでぐいっと引き寄せられる。

『わっ、』

そ「ほんとかなぁ～。」

顔がめちゃくちゃに近いけど、肘置きに手をつかれてるから逃げられない。

ど、どうしよ…！