近所のお兄さんが、苺の王子になってたんですけど。【stxxx/桃】

覚悟 ページ25

電車内。

『……ん？』

ラインの、通知だ。

担当さんとの打ち合わせを終え、久しぶりに気分がいい私は、ワクワクしてスマホを開いた。

いやぁ、本の売れ行きがいいんだよね。

重版バンバンかかってるし、新しい原稿の依頼も来ちゃった。

次はどんな話がいいかな？

キラキラ青春系？ 甘々恋系？ 切ない系？ あ、ファンタジーとかも書いてみたいな！

…じゃなくて。

そうそう、ライン。

差出人は、

なーくん！？

『！？』

急いでラインの内容を見る。

なーくん【作戦実行完了！！仲直り頑張って！！】

＿＿＿＿＿＿と。

…作戦、実行し終わったんだ。

その作戦というのも、私とさとみお兄ちゃんの仲直り作戦。

ジェルくんとなーくんが計画し、ころんさんと莉犬、るぅとが実行人。

るぅとには、もうとっくに告白の返事をした。

「返事はいらない」って言ってくれたけど、せっかく勇気を出してくれたのにこっちばっか逃げるのは、なんかズルいじゃんね。

だから言った。

「気持ちは嬉しいけど、私はさとみお兄ちゃんが好きなんだ」って。

そしたらるぅとは、「悔しいけど、今回は諦めます。でもさとみくんに飽きたら、いつでも来てくださいね？」って言ってくれた。

ってなわけで、るぅとも「さとみお兄ちゃんとちゃんと話し合う」という計画内容を、快くやってくれた。

莉犬ところんさんも「さとみお兄ちゃんに説教」係してくれたし。

ジェルさんが原案、なーくんは計画とともに、連絡係もやってくれた。

はぁ、私ったら、いろんな人に頼りすぎじゃない？

でもジェルさんは「頼って」って言ってたし、莉犬も「頼ってくれてうれしー！」って言ってた。

申し訳なさや恥ずかしさもあるけど、有り難く甘えさせて貰った。

…でも、あとは自分で伝えなきゃ。

ちゃんと仲直りして、気持ちを伝えたい。

さとみお兄ちゃんと「仲直りする」ことが、協力してくれたみんなへの最低限の恩返しになるし。

私はさとみお兄ちゃんが好き。

今も昔も。

一生懸命で、笑顔が素敵で、優しいさとみお兄ちゃんが。

いつか「さとみお兄ちゃん」って呼び方も卒業したい。

りすなーさんが受け入れてくれるかは分かんないけど、この恋を続けていきたい。

アナウンス「次はー、○○ー、○○ー」

『！』

着いた。

家に帰ったら言うんだ。

＿＿＿＿＿よしっ。

私は覚悟を決め、電車を降りたのだった。

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