17.昼下がり ページ17
ルチル「ちわ〜っす。薬屋で〜す」
ルチルは元気よく閻魔殿の裏口から一升瓶に入った薬を届けに来た
ルチル「仕事中ですかね?」
仕事中とわかっていながら、一度やってみたくてルチルは前掛けを付けて裏口から入った
歩きなれない閻魔殿の中をさまよい歩く
するとルチルはあるものを見つけて足を止めた
地獄の肌を刺す様な日照りの元
鬼灯に水を頭から与えられているそれは、奇妙に「おぎゃぁぁぁ」と鳴いていた
ルチル「鬼灯様」
鬼灯「おや?ルチルさん。来てたんですか」
ルチル「それは何ですか?謝罪会見用に出荷されるんですか?」
鬼灯「会見に出荷はした事ありませんよ」
ルチル「野々村議員の時も?」
鬼灯「出荷してません」
ルチル「でも、あれもこれも"鳴き声"に変わりはありませんよね?」
鬼灯「あんな汚い鳴き声と、金魚草の素晴らしい鳴き声を一緒にしないで下さい」
ルチル「これが金魚草ですか?私が知っている金魚草とはだいぶ違うんですけど(あと、どこが素晴らしいんだろう?)」
鬼灯「これが地獄の金魚草です」
ルチル「キモッ」
ルチルが金魚草を馬鹿にすると、金魚草達は一斉に身体を揺らして鳴き声をあげる
鬼灯「ほら。ルチルさんがそんな事を言うから金魚草達が…ルチルさん?」
鬼灯がルチルの方を振り返ると、ルチルは目から涙を零していた
鬼灯「ルチルさん!?どうしたんですか?」
ルチル「…え?あぁ…何でもないです」
鬼灯「何でもないのに泣いたんですか?」
ルチル「金魚草が健気だと思って、彼らも一生懸命生きているんだと思っただけです」
鬼灯「あの鳴き声でそこまで読み取るとは」
ルチル「いえ。金魚草達が教えてくれたんですよ?」
鬼灯「何のことですか?」
ルチル「(あれ?鬼灯様には金魚草達の声が聞こえてないの?)
いえ…鬼灯様に大切に育てられて、金魚草達もさぞ幸せだろうと思っただけですよ」
2014.11.20
☆相模さんから、号泣会見のあの方ネタ
【鬼灯の冷徹】マッドサイエンティストの臨死体験 完結の「19.私が嘘をついたことがある?」でルチルに「金魚草が鳴くわけがないじゃないですか」と言わせたのは、このネタを書きたかったからです
ルチルに聞こえた金魚草達の声の内容は【鬼灯の冷徹】猛毒少女【白澤】完結の「26.使い捨て 金魚草」です
98人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼灯の冷徹」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2014年10月20日 19時