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10.戦国時代 小太郎 ページ10

「毒姫はまだ出来んのか?」

「毒の調合も難しく、子供の耐性も無くてなかなか上手くいかないんです」

「もう誰でもよい。今身ごもっている側室がいたろう?
あれに毒を盛り、今度こそ完全なる毒姫を作り上げろ」

「承知しました。上様」

Aは大名、後北条と側室の間にできた正式な姫であった

母はAがお腹の中で育つにつれ弱っていく

当時は出産は死を伴うものであったため、愛する殿の為にお腹の子供だけは守ろうと必死だった

まさか自分が毒を盛られているとも知らずに

母はAを産むとすぐに亡くなり

Aも死産と言う扱いで歴史上存在していない

実際は後北条専属の忍者、風魔一党によって育てられていた

A「も〜い〜か〜い?」

「も〜い〜よ〜」

薬草に詳しい忍によって、毒によって死ぬこともなく立派に育っていった

そして、忍と共に過ごすことによって彼らのような体術も身に付けていった

A「小太郎み〜つっけた」

木々の間を颯爽と飛び回り、かくれんぼの相手に抱きついて捕まえる

小太郎「流石Aだ」

小太郎はAを褒め、頭を撫でてやる

Aは頭領である風魔小太郎によく懐いており

小太郎もAを我が子のように愛を持って育てていた

だからAが危険な存在と知っていても

Aと触れ合う事が自分の身体を蝕んでいると知っていても

A「小太郎…ご飯が不味い…うえっ」

小太郎「Aはいずれ後北条様に使える身。これもそのための修行の一つ。
…頑張って食べたら、今夜は一緒に寝てやろう」

A「本当に!?なら全部食べるから!!」

小太郎はAを一人にすることが出来なかった

吐き気を我慢し、毒を盛られた食事を泣きながら食べるA

自分の為ではなく、君主に忠誠を誓う忍

自分たちの命は捨て駒のような扱いを受けているが、人として扱われている

しかしAは人としてではなく、誰からも恐れられる殺戮兵器

都合のいい道具としてしか見られていない

そんな辛い現実を知る前に

A「完食…うっ…したよ」

小太郎「いい子だ。おいで?」

今、自分が精一杯愛情を与えてやりたい

小太郎「ゴホッゴホッ」

A「小太郎大丈夫?」

小太郎「大丈夫ゴホッ…風邪を引いただけだ」

例えこの身体が朽ち果てようとも

Aに悟られぬよう

生ある限りAを一人にはしない
2014.9.12

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設定タグ:鬼灯の冷徹 , 毒姫 , 白澤   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年8月31日 7時

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